コットンバーテープの魅力とは?クラシックな見た目と独特の握り心地

コットンバーテープの魅力とは?クラシックな見た目と独特の握り心地
コットンバーテープの魅力とは?クラシックな見た目と独特の握り心地
パーツ・用品・スペック

ロードバイクやランドナーのハンドル周りをカスタムする際、「コットンバーテープ」という選択肢を耳にしたことはありませんか?現代の主流であるクッション性の高いテープとは一線を画す、その薄さと素朴な風合いは、多くのサイクリストを魅了してやみません。コットンの持つ独特な質感は、愛車をよりクラシックに、そして個性的に仕上げるための強力なアイテムとなります。

この記事では、コットンバーテープの基本的な特徴から、少し玄人好みな「シェラックニス仕上げ」、そしてきれいに巻くためのコツまでを丁寧に解説していきます。初めての方でも安心して挑戦できるよう、分かりやすく情報をまとめましたので、ぜひ最後までお付き合いください。

コットンバーテープとは?その特徴とメリットを知ろう

コットンバーテープは、その名の通り綿(コットン)素材で作られたバーテープです。最新のカーボンバイクに使われるような厚手の化学繊維とは異なり、昔ながらの自転車やツーリングバイクで愛用されてきた歴史があります。まずは、なぜこのテープが今なお選ばれ続けているのか、その魅力的な特徴を見ていきましょう。

独特の風合いとクラシックな見た目

コットンバーテープ最大の特徴は、布ならではの温かみのある質感です。化学繊維の光沢感とは対照的に、マットで落ち着いた雰囲気を持っています。特にクロモリフレームなどの細身の自転車との相性は抜群で、巻くだけで全体が引き締まり、ヴィンテージな装いを演出できます。

また、繊維の織り目がはっきりと見えるため、機械的な冷たさがなく、工芸品のような美しさを感じることができます。愛車の写真を撮るのが好きな方にとっても、この「映える」質感は大きなメリットと言えるでしょう。

ダイレクトな操作感と握り心地

多くのコットンバーテープは非常に薄く作られています。そのため、ハンドルを握ったときにバーの太さがそのまま手に伝わるような、ダイレクトな感触が得られます。「ハンドルと手が一体化する感覚」とも表現され、路面の状況を敏感に感じ取りたいライダーに好まれています。

厚手のテープ特有の「グニグニ」とした感触が苦手な方や、手の小さい方にとっても、しっかりとハンドルを握り込めるこの薄さは大きな武器になります。力が逃げにくいため、坂道などでハンドルを引きつける動作もしやすくなります。

吸水性とグリップ力の関係

素材が綿であるため、汗や雨をよく吸います。一見デメリットのように思えますが、実はこれがグリップ力の向上につながることがあります。天然繊維の表面は適度な摩擦を持っており、素手で握ったときにも滑りにくいという特性があります。

特に、雨の日や大量に汗をかくシーンでも、化学素材のようにヌルヌルと滑ることが少ないため、安心してハンドル操作を行えます。グローブとの相性も良く、革製のグローブと組み合わせると、驚くほどのフィット感を生み出します。

自分だけの色に育てる経年変化

革製品やデニムと同じように、コットンバーテープも使い込むほどに「味」が出てきます。新品のパリッとした状態から、日焼けや手垢、雨風にさらされることで色が馴染み、少しずつ毛羽立ちながら持ち主の手の形に馴染んでいきます。

汚れを嫌う方には向きませんが、自転車と共に過ごした時間を刻み込みたいと考える方にとって、この経年変化は何物にも代えがたい魅力です。ボロボロになる直前の、クタッとした質感こそがカッコいいという愛好家も少なくありません。

メリットだけでなくデメリットも理解して選ぼう

魅力あふれるコットンバーテープですが、現代の高機能なバーテープと比べると不便な点もいくつか存在します。導入してから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないよう、あらかじめデメリットもしっかりと理解しておきましょう。

クッション性が低く振動が伝わりやすい

最大の弱点は、衝撃吸収性がほとんどないことです。クッション材が入っていないただの布テープであるため、路面からのガタガタとした振動がダイレクトに掌や腕に伝わります。舗装の悪い道を長時間走ると、手が痺れてしまうこともあるでしょう。

対策として、ハンドルの下にゲルパッドを入れたり、厚手のグローブを着用したりする方法があります。しかし、あえてその「硬い握り心地」を楽しむのがコットンの流儀とも言えますので、快適性重視の方には少しハードルが高いかもしれません。

雨や汗で汚れやすく乾きにくい

吸水性が良いということは、逆に言えば「汚れを吸い込みやすい」ということです。油汚れのついた手で触ると黒ずんでしまったり、雨天走行後に濡れたまま放置するとカビの原因になったりすることもあります。

また、一度濡れるとなかなか乾かないため、雨の日の翌日に乗ろうとすると、まだテープが湿っていて不快な思いをすることもあるでしょう。きれいな色を保ちたい場合は、こまめなメンテナンスや、後述するニスのコーティングが必要不可欠です。

伸縮性が少なく巻くのにコツが必要

現代のバーテープはよく伸びる素材で作られており、カーブの部分でも引っ張りながら巻けばきれいに仕上がります。しかし、コットン素材はほとんど伸縮しません。無理に引っ張ると切れてしまいますし、緩すぎるとシワが寄ってしまいます。

特にハンドルの曲がっている部分(ドロップ部分)やブラケット周りをきれいに巻くには、絶妙な力加減と角度調整が必要です。初めて挑戦する場合は、何度か巻き直す覚悟で、時間に余裕を持って作業することをおすすめします。

コットンの真骨頂!シェラックニス仕上げの世界

コットンバーテープを語る上で欠かせないのが、「シェラックニス(セラックニス)」による仕上げです。単にテープを巻くだけでなく、その上から天然樹脂のニスを塗ることで、機能性と美しさを飛躍的に向上させる伝統的な手法です。

シェラックニスを塗る理由と効果

ニスを塗る最大の目的は、耐久性の向上と防水です。繊維の隙間にニスが浸透して固まることで、布がカチカチの殻のようになり、擦れやほつれに非常に強くなります。同時に、表面がコーティングされるため、雨や汗を吸い込みにくくなり、汚れ防止にも役立ちます。

また、ニスを塗ることでテープがハンドルバーに強固に接着されるため、走行中にテープがズレたり緩んだりする心配もなくなります。手間はかかりますが、一度施工すれば何年も使えるほどの耐久性を手に入れることができます。

クリアとアンバーによる色の変化

シェラックニスには主に、透明に近い「クリア(ブロンズ)」と、琥珀色の「アンバー(オレンジ)」の2種類があります。どちらを選ぶかによって、仕上がりの色が大きく変わります。

クリアを塗れば元のテープの色を活かしつつ、濡れたような艶が出ます。一方、アンバーを塗ると全体が黄ばんだような飴色に変化し、まるで何十年も使い込んだようなヴィンテージ感が生まれます。白いテープにアンバーのニスを塗って、美しい蜂蜜色に仕上げるのが定番の楽しみ方です。

重ね塗りで変わる質感と耐久性

シェラックニス仕上げは、一度塗って終わりではありません。薄く塗って乾かし、また塗るという工程を何度も繰り返します。塗り重ねる回数によって、色の濃さや表面の質感をコントロールできるのも醍醐味です。

3回~5回ほど重ね塗りをすると、表面に厚みのある艶やかな層ができ、まるで鼈甲(べっこう)や高級家具のような輝きを放ちます。ここまで仕上げると手触りはツルツルになりますが、不思議とグリップ力は損なわれず、手に吸い付くような独特の感触が生まれます。

失敗しないコットンバーテープの巻き方と固定方法

伸縮性のないコットンバーテープをきれいに巻くには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、下準備から仕上げの固定まで、失敗しないための具体的な手順とコツを紹介します。

下準備とケーブル処理の重要性

薄手のコットンバーテープは、ハンドルの下にある凹凸をそのまま拾ってしまいます。そのため、ブレーキワイヤーやシフトケーブルをハンドルに沿わせる場合、ビニールテープでしっかりと固定し、段差をなるべく滑らかにしておく必要があります。

また、最近のロードバイクのようにケーブル類をハンドルに内蔵したり、エアロ形状のハンドルだったりする場合は、きれいに巻くのが非常に困難です。丸いパイプ形状のハンドルで、ケーブルの取り回しがシンプルな車体の方が、仕上がりは美しくなります。

伸縮しない素材をきれいに巻くコツ

巻き始めは通常のエンド部分から行いますが、重要なのは「常に一定のテンションをかけ続けること」です。伸びないからといって緩く巻くと、すぐにズレてしまいます。切れないギリギリの力で強く引っ張りながら、隙間ができないように巻き進めます。

カーブの内側は重ねる幅を多くし、外側は少なくするという基本テクニックを、通常のテープ以上に意識してください。シワができそうになったら、少し戻って角度を微調整します。焦らずゆっくり進めることが成功への近道です。

ブラケット周りは「8の字巻き」で攻略

最大の難関はブレーキレバー(ブラケット)の周りです。厚手のテープであれば「隠しテープ」を使ってごまかせますが、コットンでそれをやると段差が目立ってしまいます。ここでは「8の字巻き(たすき掛け)」という技法を使います。

レバーの上下を交互に交差させるように巻くことで、隙間なく、かつ段差を最小限に抑えてカバーできます。この8の字巻きが決まると、見た目が非常にプロっぽくなります。YouTubeなどで動画を見ながら、構造を理解して実践することをおすすめします。

エンド処理は麻紐(ヘンプ)がおすすめ

巻き終わりの処理にもこだわりましょう。付属のビニールテープで止めるのも良いですが、クラシカルな雰囲気を極めるなら「麻紐(ヘンプ)」での固定がベストです。バーテープの端を巻き込んだ上から、細い麻紐をきつくグルグルと巻き付けます。

最後に、その麻紐の上からシェラックニスや接着剤を染み込ませて固めます。こうすることで、ビニールテープのように剥がれてくる心配がなくなり、見た目も工芸品のように美しく仕上がります。これがランドナー愛好家の間で愛される伝統的なスタイルです。

おすすめのブランドと選び方のポイント

いざコットンバーテープを購入しようと思っても、どのメーカーのものを選べばよいか迷うかもしれません。ここでは手に入りやすく、品質にも定評のある代表的なブランドと、選び方のポイントを紹介します。

定番のVIVA(ビバ)やVELOX(ヴェロックス)

日本国内で最も手に入りやすいのが、東京サンエスのオリジナルブランド「VIVA(ビバ)」のコットンバーテープです。価格も手頃でカラーバリエーションも豊富、品質も安定しており、最初の練習用としても最適です。

フランスの老舗「VELOX(ヴェロックス)」のTressostar(トレソスター)も世界的な定番です。VIVAに比べると少し織り目が粗く、より素朴な風合いがあります。どちらも甲乙つけがたい良品ですので、好みの色が在庫にある方を選ぶと良いでしょう。

カラーバリエーション豊富なNewbaum’s(ニューバウム)

アメリカ発の「Newbaum’s(ニューバウム)」は、近年非常に人気が高まっているブランドです。その特徴は、他社を圧倒するカラーバリエーションの多さと、少し厚手でしっかりとした生地感です。

環境に配慮した染料を使用しており、発色が非常に鮮やかです。定番の黒や茶色だけでなく、ビビッドな色やパステルカラーで遊び心を加えたい場合には、ニューバウムが第一候補になります。

車体の雰囲気やサドルに合わせた色の選び方

色選びで失敗しないための基本は、サドルの色と合わせることです。サドルが茶色の革製なら、バーテープも同系色の茶色やベージュを選ぶと、自転車全体に統一感が生まれます。

ニス仕上げを前提とする場合は、仕上がりの色が濃くなることを計算に入れて選びましょう。例えば、明るいキャメル色にしたい場合は、黄色や白のテープにアンバーのニスを塗ると、狙った色が出しやすいです。

まとめ

まとめ
まとめ

コットンバーテープは、単なるハンドルを握るための部材ではなく、自転車の個性を引き立て、乗り手のこだわりを表現するための素晴らしいアイテムです。薄くて硬い握り心地や、雨や汚れへの対策など、現代のパーツにはない不便さもありますが、それを補って余りある魅力があります。

使い込むほどに手に馴染み、景色の一部のように美しく変化していく様は、他の素材では味わえません。特にシェラックニスや麻紐を使って自分自身で仕上げたハンドルには、格別の愛着が湧くはずです。

「速く走る」だけでなく、「愛車を育てる」という楽しみ方を教えてくれるコットンバーテープ。次のバーテープ交換のタイミングで、ぜひ一度その奥深い世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

 

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