自転車のメンテナンスを始めようと思ったとき、最初に手をつけることが多いのがチェーンの注油です。「金属の動きを良くするにはグリスを塗ればいい」と考えて、「グリス チェーン」というキーワードで検索された方も多いのではないでしょうか。実は、自転車の世界では場所によって「グリス」と「オイル(ルブ)」を明確に使い分ける必要があり、間違った使い方をすると逆に自転車の寿命を縮めてしまうことさえあります。
この記事では、なぜチェーンにグリスを使ってはいけないのか、その理由を詳しく解説するとともに、新品チェーンについている粘度の高い油の正体や、正しいチェーンオイルの選び方・メンテナンス方法までを徹底的に掘り下げてご紹介します。初心者の方でも迷わず作業できるように、専門用語もやさしく噛み砕いてお伝えしますので、ぜひ最後までお付き合いください。
自転車のチェーンに「グリス」を塗るのはNG?その理由とは

結論から申し上げますと、自転車のチェーンメンテナンスにおいて、一般的な「グリス」を塗布することは基本的に推奨されません。ホームセンターなどで売られているチューブ入りや缶入りのグリスをチェーンに塗りたくってしまうと、期待した効果が得られないどころか、トラブルの原因になることが多いのです。まずは、なぜチェーンにグリスが適していないのか、そのメカニズムを詳しく見ていきましょう。
グリスとチェーンオイルの決定的な違い
そもそも、グリスとチェーンオイル(チェーンルブ)は、どちらも「潤滑剤」というカテゴリーに属していますが、その性質は大きく異なります。最もわかりやすい違いは「粘度」、つまりネバネバの度合いです。グリスは半固形状で、バターやマーガリンのような硬さを持っています。一度塗った場所に留まり続け、重い荷重がかかっても油膜が切れにくいという特性があります。
一方、チェーンオイルは液体状で、サラサラとした水のようなものから、少しとろみのあるサラダ油のようなものまでありますが、基本的には流動性があります。この「流れる性質」こそが、チェーンという部品にとって非常に重要なのです。チェーンは一見すると一本の金属の棒のように見えますが、実際には100個以上の小さな「コマ」が連結してできており、それぞれが複雑に動いています。
グリスは「留まる」ことが得意な反面、「入り込む」ことが苦手です。チェーンメンテナンスで求められるのは、表面をコーティングすることではなく、金属同士が擦れ合う微細な隙間に入り込むことです。この決定的な性質の違いが、チェーンにグリスを使ってはいけない最大の理由となります。
チェーン内部まで浸透しない問題
自転車のチェーンがスムーズに回転するためには、チェーンを構成している「プレート」「ローラー」「ピン」という3つの部品の隙間に潤滑剤が行き渡っている必要があります。特に重要なのが、外からは見えにくい「ピン」と「ローラー」の内部です。ペダルを漕ぐたびに、この内部パーツが高い圧力で擦れ合っているため、ここに油分がないと金属摩耗が急速に進んでしまいます。
もしここに半固形のグリスを塗ったらどうなるでしょうか。グリスは粘度が高すぎるため、表面にベタッと付着するだけで、肝心のピンやローラーの極小の隙間には浸透していきません。表面はテカテカして潤滑されているように見えても、内部はカラカラの乾燥状態ということが起こり得ます。
内部の潤滑が不足すると、チェーンから「キーキー」「キュルキュル」といった異音が発生します。これは金属同士が直接削れ合っている悲鳴です。この状態が続くとチェーンが伸びてしまったり、錆が発生して固着したりする原因になります。つまり、グリスを塗ることは、チェーンの寿命を縮める行為になりかねないのです。
汚れが付着しやすくなるリスク
グリスをチェーンに塗ることのもう一つの大きなデメリットは、「汚れを吸着しやすい」という点です。グリスはその粘着力の強さゆえに、走行中に舞い上がる砂埃や土、道路の細かなゴミなどを強力にキャッチしてしまいます。これが非常に厄介な問題を引き起こします。
チェーンに付着した砂や土は、グリスと混ざり合うことで「研磨剤(コンパウンド)」のようなジャリジャリとした物質に変化します。この研磨剤を含んだ汚れがチェーンやギア(スプロケット)に付着したまま回転し続けると、まるでヤスリがけをしているかのように、金属パーツをどんどん削っていってしまいます。
結果として、チェーンだけでなく、高価なギア板まで摩耗させてしまい、修理費用が高額になることも珍しくありません。また、汚れが堆積することでチェーンの動きそのものが重くなり、ペダルを漕ぐのがしんどくなる「抵抗の増大」も招きます。愛車をきれいに保ち、快適に走るためにも、ベタベタするグリスは避けるべきなのです。
グリスを使っても良い例外的なケースはある?
基本的にはNGとお伝えしましたが、自転車の世界には例外も存在します。例えば、ママチャリなどのシティサイクルで、完全にチェーンがカバー(チェーンケース)で覆われており、雨ざらしの環境で何年もメンテナンス無しで乗り続けたいという場合、耐久性重視でスプレーグリスを使うケースが稀にあります。
また、一部の上級者向けケミカルの中には、「シーリンググリス」のように、チェーンオイルの上から蓋をする目的で使う特殊なグリスや、雨天のレース専用に開発された極めて粘度の高いグリス状のルブも存在します。これらは一般的なグリスとは用途や成分が調整された専用品です。
しかし、これらはあくまで特殊な用途や知識がある前提での話です。趣味でスポーツバイクに乗る方や、日常のメンテナンスを行いたいと考えている一般の方にとっては、「チェーンには液体状の専用チェーンオイル(ルブ)を使う」というのが揺るぎない正解です。迷ったらグリスではなく、必ずチェーン専用品を選びましょう。
新品チェーンについている「ネバネバ」はグリス?落とすべきか

新しいチェーンを購入したとき、あるいは新車を買ったばかりのとき、チェーンの表面にベタベタした白い粘着質の油がついていることに気づくはずです。これは「ファクトリーグリス」などと呼ばれ、多くのサイクリストを悩ませる種になっています。「このネバネバは落としてから乗るべきなのか、それともそのまま乗っていいのか?」という疑問について解説します。
ファクトリーグリス(初期グリス)の役割
新品のチェーンに塗布されているこの油は、製造メーカー(シマノなど)が出荷時に塗布している工業用潤滑剤です。主な目的は、倉庫での保管中や輸送中にチェーンが錆びないようにするための「防錆(ぼうせい)」です。しかし、単なる錆止めオイルではなく、しっかりとした潤滑性能も持っています。
メーカーの製造工程では、チェーンをこの高温のグリス風呂のようなものに浸して、内部の隅々まで油を行き渡らせています。そのため、新品の状態はチェーン内部の潤滑が完璧に行われている状態と言えます。このグリスは非常に粘度が高く、耐久性に優れているのが特徴です。
「たかが錆止めだろう」と考えて完全に脱脂してしまう人もいますが、実は初期の金属同士の馴染みを良くするための役割も担っていると言われており、メーカー側も基本的にはそのまま使用することを想定しています。決して「悪い油」がついているわけではないのです。
そのまま使う派の意見(耐久性・防錆)
「新品チェーンのグリスは落とさずにそのまま使う」という意見は、実は多くのプロショップやメーカー推奨の見解でもあります。その最大の理由は、メーカーが工場で浸透させた完璧な内部潤滑を、ユーザーが後から再現するのは難しいからです。
市販のチェーンオイルを上から垂らすだけでは、工場出荷時のように微細な隙間の奥底まで完全に油膜を形成するのは困難な場合があります。ファクトリーグリスは熱を加えて液体状にして浸透させているため、定着力が段違いです。そのため、最初の数百キロメートルは、この初期グリスのまま走ったほうがチェーンの寿命が延びるという考え方です。
また、耐久性が非常に高いため、雨の日でも流れ落ちにくく、長期間メンテナンスフリーで走れるというメリットもあります。特に通勤や通学で毎日乗るようなタフな使い方をする場合、このネバネバしたグリスは強力な味方になってくれます。
落としてからオイルを塗る派の意見(回転性能)
一方で、「新品のグリスは必ず落とす」というこだわりのサイクリストも大勢います。その主な理由は、やはり「粘度が高すぎて重い」ことと「汚れを呼び寄せる」ことです。ファクトリーグリスは非常に粘り気が強いため、ペダルを回したときの抵抗感が大きく、せっかくの高性能な自転車の軽快さが損なわれると感じる人が多いのです。
また、前述したように粘着質であるため、砂やホコリを強烈に吸着します。一度走りに行くとチェーンが真っ黒になり、ジャリジャリになってしまうことを嫌う人は、最初から専用のディグリーザー(脱脂剤)で完全にグリスを洗い流し、自分の好みのサラサラしたチェーンオイル(ドライタイプやワックスタイプなど)を塗り直します。
この方法は、こまめなメンテナンスができる人向けです。初期グリスを落としてしまうと、防錆力や耐久性は落ちるため、頻繁に注油を行う必要があります。手間をかけてでも、最高の回転性能と綺麗さを維持したいというパフォーマンス重視の考え方と言えるでしょう。
初心者におすすめの初期対応
では、初心者はどうすればよいのでしょうか。おすすめなのは、両方の良いとこ取りをした「表面だけ拭き取る」という方法です。内部に入り込んでいるグリスは無理に洗い流さず、そのまま潤滑剤として機能させます。そして、汚れを呼び寄せやすい「表面のベタベタ」だけを取り除くのです。
具体的な手順としては、新品のチェーンを袋から出したら(または新車が納車されたら)、パーツクリーナーを染み込ませたウエス(布)で、チェーンの表面を軽く拭き上げます。ゴシゴシと洗い流すのではなく、外側のネバつきを抑える程度で十分です。
こうすることで、内部の潤滑と耐久性は確保しつつ、砂ボコリの付着をある程度防ぐことができます。まずはこの状態で300km〜500kmほど走行し、チェーンが汚れてきたり音がし始めたりしたタイミングで、初めて本格的な洗浄と注油を行うのが、最も失敗が少なく経済的なサイクルです。
チェーンに最適なのは「チェーンルブ」!種類と選び方

グリスがNGなら、何を使えばいいのか。正解は「チェーンルブ」や「チェーンオイル」と呼ばれる自転車専用の潤滑剤です。しかし、スポーツバイクショップに行くと、棚には数十種類のオイルが並んでおり、どれを選べばいいか途方に暮れてしまうかもしれません。ここでは代表的な3つのタイプと、それぞれの選び方をご紹介します。
ドライタイプ(晴天向け・汚れにくい)
最も一般的で人気があるのが「ドライタイプ」です。このオイルは、注油した後に溶剤が揮発し、チェーンの表面にサラサラとした乾いた被膜を作ります。名前の通り「ドライ(乾いた)」状態になるため、手で触ってもベタつかず、砂やホコリが付着しにくいのが最大の特徴です。
チェーンが汚れにくいため、いつまでも銀色のピカピカした状態を保ちやすく、見た目を気にするロードバイクユーザーに特に好まれます。また、粘度が低いためペダリングの抵抗が少なく、軽く回せるというメリットもあります。
デメリットは、雨や水に弱いことです。水溜まりを走るとすぐに流れ落ちてしまい、油膜切れを起こしてキュルキュルと音が鳴り始めます。また、耐久性も低めなので、200km〜300kmごとのこまめな注油が必要です。「晴れた日にしか乗らない」「こまめなメンテナンスは苦にならない」という方におすすめです。
ウェットタイプ(雨天・耐久性重視)
「ウェットタイプ」は、粘度が高く、ドロッとした質感が特徴のオイルです。グリスほどではありませんが、かなり濃厚な油膜を作ります。最大の特徴は、水に強く、長持ちすることです。雨の中を走っても簡単には流れ落ちず、泥だらけになっても潤滑性能を維持し続けます。
一度注油すれば500km以上持つものも多く、長距離ツーリングや、毎日の通勤・通学で雨の日も自転車を使う人にとっては非常に頼もしい存在です。プロのレースでも、悪天候時には必ずウェットタイプが選ばれます。
デメリットは、汚れやすいことです。粘度が高いためゴミを吸着しやすく、しばらく走るとチェーンが真っ黒になりがちです。触ると手が黒く汚れるため、輪行(電車に自転車を載せること)や室内保管をする人は注意が必要です。「メンテナンス頻度を減らしたい」「全天候で走る」という方に向いています。
セミウェット・ワックスタイプの特徴
ドライとウェットの中間に位置するのが「セミウェット(ハーフウェット)」タイプです。適度な耐久性と、そこそこの汚れにくさを両立させたバランス型で、万能選手と言えます。最初に一本買うなら、このタイプを選んでおけば間違いありません。多くのメーカーが「オールコンディション」として販売しているものがこれに該当します。
また、最近注目されているのが「ワックスタイプ」です。これはオイルではなく、パラフィンワックスなどを溶剤に溶かしたもので、乾くと完全に固形のロウ状になります。ドライタイプ以上に汚れがつかず、チェーンを触っても手が汚れないほどクリーンです。抵抗も極めて低いですが、耐久性は最も低く、走行ごとの塗布が必要になることもあります。手間を惜しまず、究極の綺麗さと軽さを求めるマニア向けです。
用途に合わせた選び方のポイント(通勤・レース等)
どのオイルを選ぶべきかは、あなたの自転車の使い方によって決まります。以下の基準を参考に選んでみてください。
【通勤・通学・街乗り】
おすすめ:ウェットタイプ または セミウェットタイプ
理由:雨に降られる可能性があり、毎日メンテナンスするのは現実的ではないため、耐久性を最優先します。
【週末のサイクリング・晴天のみ】
おすすめ:ドライタイプ
理由:雨に乗らないのであれば、チェーンが汚れにくいドライタイプが快適です。掃除も楽になります。
【長距離ツーリング・ブルベ】
おすすめ:ウェットタイプ
理由:途中で雨が降るかもしれず、数百キロ走る中で油膜切れを起こさない信頼性が必要です。
自分のスタイルに合ったオイルを選ぶことで、メンテナンスの負担が減り、自転車に乗ることがより楽しくなります。まずは小容量のボトルを買って試してみるのが良いでしょう。
正しいチェーンメンテナンスの手順とコツ

適切なオイルを手に入れたら、いよいよメンテナンスの実践です。「ただ油をかければいい」と思っていると、床を汚したり、ブレーキに油がかかって危険な状態になったりします。ここでは、効率的で確実なメンテナンスの4ステップをご紹介します。
ステップ1:洗浄で古い油と汚れを落とす
注油の前に必ずやらなければならないのが「洗浄」です。汚れたチェーンの上から新しいオイルを足しても、汚れを内部に押し込んでしまうだけで逆効果です。まずは古い油と砂汚れを落としましょう。
専用の「チェーンクリーナー」を使用するのがベストです。スプレータイプなら、チェーン全体に吹きかけてブラシで擦り、汚れを浮かせます。最近では、チェーンを挟み込んでガラガラ回すだけの洗浄機なども安価で販売されています。もし専用クリーナーがない場合は、中性洗剤とスポンジで洗うことも可能ですが、その場合は後の乾燥を念入りに行う必要があります。
洗浄を行う際は、新聞紙や段ボールを敷いて床を保護することを忘れないでください。飛び散った汚れはなかなか落ちません。
ステップ2:乾燥と脱脂の重要性
洗浄が終わったら、しっかりと「乾燥」させます。クリーナーや水分が残っている状態で新しいオイルを塗っても、はじかれてしまったり、混ざって性能が落ちたりしてしまいます。
パーツクリーナー(速乾性の脱脂剤)を使ってクリーナー成分を洗い流し、ウエスで水分を拭き取った後、しばらく放置して完全に乾かしましょう。コンプレッサーなどのエアダスターがあれば、コマの隙間の水分を吹き飛ばすと完璧です。チェーンを触ってサラサラの状態になっていれば、注油の準備完了です。
ステップ3:注油は「リンク(コマ)」ごとに
いよいよ注油ですが、ここにもコツがあります。スプレーを全体にバーっと吹きかけるのはNGです。無駄が多いだけでなく、タイヤやブレーキなど、油がついてはいけない場所に飛散するリスクがあります。
正しい方法は、ボトルタイプの容器から「一滴ずつ垂らす」ことです。チェーンの「コマ(リンク)」一つ一つの、ローラー部分(丸い筒の部分)めがけて、ポチョン、ポチョンと一滴ずつ垂らしていきます。地味な作業ですが、これが最も確実で無駄がありません。
クランクを逆回転させながら、全てのコマに注油していきます。どこから始めたか分からなくなりがちなので、「アンプルピン」や「ミッシングリンク」といった、形状が違う接続箇所のコマを目印にスタートすると良いでしょう。
ステップ4:余分なオイルの拭き取り
注油が終わったら、すぐに走り出してはいけません。まずはクランクを数十回まわして、オイルをチェーン内部まで馴染ませます。可能であれば10分〜15分ほど放置して浸透を待ちます。
そして最後に最も重要なのが「拭き取り」です。ウエスでチェーンを軽く握り、クランクを回して、表面に残っている余分なオイルをしっかりと拭き取ります。「せっかく塗ったのにもったいない」と思うかもしれませんが、表面に残ったオイルは潤滑には寄与せず、汚れを呼ぶだけの存在です。
必要なオイルは内部の隙間に入り込んでいます。表面は指で触っても油がつかないくらいまで拭き取ってしまって構いません。これでメンテナンスは完了です。
グリスが必要な自転車パーツはどこ?使い分けを解説

チェーンにはNGなグリスですが、自転車の他の部分には絶対に欠かせない重要なケミカルです。「じゃあ、手元にあるこのグリスはどこに使えばいいの?」という疑問にお答えします。グリスとオイルを正しく使い分けることで、自転車の総合的なコンディションを整えることができます。
グリスアップが必須な回転部分(ベアリング等)
グリスが最も活躍するのは、「回転するけれど、チェーンほど高速ではなく、強い力がかかる場所」です。具体的には、内部にボールベアリングが入っている回転軸の部分です。
これらの場所は、外部からの水や埃の侵入を防ぎつつ、長期間メンテナンスなしで潤滑し続ける必要があります。そのため、流れ落ちてしまうオイルではなく、粘度の高いグリスをたっぷりと充填(グリスアップ)して密閉するのです。
固着防止のためのネジ山への塗布
もう一つの重要な用途が「固着(こちゃく)防止」です。自転車は金属のボルトで組み立てられていますが、雨や汗で錆びると、ネジ同士がくっついて二度と外れなくなってしまうことがあります。
これを防ぐために、ペダルを取り付ける際のネジ山や、ボトルのケージを留めるボルト、ステムのボルトなどに薄くグリスを塗ってから締め込みます。これをやっておくだけで、将来のメンテナンスや部品交換が劇的に楽になります。特にペダルは固着しやすい代表的なパーツなので、取り付け時のグリス塗布は必須です。
シートポストやペダルなどの取り付け部
シートポスト(サドルを支える棒)をフレームに差し込む際にも、グリスを塗るのが一般的です。ここにグリスを塗らないと、金属同士が反応して固着し、サドルの高さを変えられなくなったり、フレームから抜けなくなったりするトラブルが頻発します。
ただし、カーボン製のフレームやシートポストの場合は注意が必要です。普通のグリスを塗ると滑りすぎてサドルが下がってしまうことがあるため、「ファイバーグリップ」と呼ばれる、摩擦を増やす粒が入ったカーボン専用のグリスを使用します。素材に合わせたケミカル選びも大切です。
チェーンオイルとグリスの使い分けまとめ
【使い分けの簡単な覚え方】
●サラサラ動かしたい・外から見える可動部 → オイル(チェーン、変速機など)
●ヌルヌル動かしたい・中に隠れている回転軸・ネジ山 → グリス(ベアリング、ボルトなど)
この法則を覚えておけば、大きな間違いをすることはなくなります。適材適所でケミカルを使いこなし、愛車を長持ちさせましょう。
まとめ:チェーンにはグリスではなく専用オイルを選ぼう
今回は「グリス チェーン」と検索された方に向けて、自転車チェーンのメンテナンスにおける正しい潤滑剤の選び方と使い方を解説してきました。要点を振り返りましょう。
まず、一般的なグリスをチェーンに塗るのは避けましょう。粘度が高すぎて内部まで浸透せず、汚れを吸着してチェーンの寿命を縮める原因になります。チェーンには必ず、浸透性と潤滑性に優れた「自転車用チェーンオイル(ルブ)」を使用してください。
オイルの種類は、汚れにくさ重視なら「ドライタイプ」、雨天走行や耐久性重視なら「ウェットタイプ」、迷ったら中間の「セミウェットタイプ」を選ぶのがおすすめです。自分の走行環境に合わせて最適なものを選びましょう。
新品のチェーンについている粘度の高いグリスについては、初心者は「表面だけを拭き取って、内部のグリスはそのまま使う」のが最も手軽で安全な方法です。慣れてきたら、一度脱脂して好みのオイルを一から塗布するなどのこだわりメンテナンスに挑戦してみるのも良いでしょう。
自転車は、たった一本のオイルで走りが劇的に変わる乗り物です。正しい知識でチェーンをケアして、軽く滑らかなペダリングを楽しんでください。



