「ロードバイクのタイヤ、次はもう少し太くしてみようかな?」
「パンクの心配をせずに、知らない道もどんどん走ってみたい」
そんな風に考えているあなたにとって、パナレーサーの「グラベルキング 28c」は、まさに理想的な選択肢といえます。
2024年に10年ぶりのフルモデルチェンジを果たし、さらに性能が向上したこのタイヤ。ロードバイクの軽快さを損なわずに、極上の乗り心地とちょっとした未舗装路も走れるタフさを手に入れることができます。なぜ今、多くのサイクリストが「28cのグラベルキング」を選ぶのか。その理由と、新型モデルの進化ポイントをわかりやすく解説します。
グラベルキング 28cが「最強の街乗り&旅タイヤ」と呼ばれる理由

「グラベルキング(GravelKing)」という名前を聞くと、砂利道(グラベル)専用のタイヤだと思っていませんか?実は、ロードバイクやクロスバイクで舗装路を走る人こそ、このタイヤの恩恵を最大限に受けることができます。
特に「28c」というサイズは、速さと快適さのバランスが絶妙な「魔法のサイズ」です。ここでは、なぜこのタイヤが多くのライダーに愛されているのか、その理由を深掘りしていきましょう。
28cという「太さ」がもたらす絶妙なバランス
かつてロードバイクのタイヤといえば23cや25cが主流でしたが、現在はプロレースの世界でも28cが標準になりつつあります。グラベルキングの28cは、細すぎず太すぎない、まさに「いいとこ取り」のサイズです。
25cに比べてエアボリューム(タイヤの中に入る空気の量)が増えるため、クッション性が劇的に向上します。一方で、32c以上のタイヤほど重量が重くならないため、信号待ちからの漕ぎ出しや、上り坂でも軽快さを失いません。「ロードバイクらしい疾走感」と「クロスバイクのような安定感」を両立できるのが、この28cというサイズの最大の魅力です。
パンクへの恐怖心を減らす耐久性
サイクリング中の最大のトラブルといえばパンクです。グラベルキングは、元々荒れた道を走ることを想定して開発されているため、通常のロードタイヤよりも突き刺しパンクやサイドカット(タイヤ側面が切れること)に強い構造をしています。
通勤や通学で毎日自転車に乗る人や、週末のロングライドで人里離れた峠道を走る人にとって、この「頑丈さ」は心の余裕につながります。小石が散らばっている路肩や、工事中の段差も、過度に神経質にならずに通過できるでしょう。
さらに、耐久性が高いにもかかわらず、ゴム質が硬すぎないため、路面に吸い付くようなグリップ力も兼ね備えています。
長距離ライドでも疲れにくい振動吸収性
28cのグラベルキングに変えると、最初に驚くのが「乗り心地の良さ」です。アスファルトのひび割れや、点字ブロックの上を走ったときの「ガタガタ」という不快な振動が、タイヤでマイルドに吸収されます。
自転車の振動は、長時間乗っているとボディブローのように体力を奪っていきます。振動吸収性が高いタイヤを使うことは、単に快適なだけでなく、ライド後半の疲労軽減にも直結します。100kmを超えるようなロングライドに挑戦したい方には、特におすすめのアップグレードです。
愛車がおしゃれになる「サイドカラー」の選択肢
性能だけでなく、見た目のカスタムを楽しめるのもグラベルキングの人気の秘密です。真っ黒なタイヤだけでなく、側面が茶色い「ブラウンサイド(タンウォール)」のモデルがラインナップされています。
タイヤのサイドを茶色にするだけで、最新のカーボンバイクはクラシックで玄人好みな雰囲気に、クロモリフレームやクロスバイクはよりカジュアルでファッショナブルな印象に生まれ変わります。「タイヤを変えただけで、別の自転車を買ったみたい」と喜ぶユーザーも多いほど、ドレスアップ効果が高いタイヤです。
ここがポイント!
・28cはロードバイクのフレーム(特にキャリパーブレーキ)に収まる限界サイズであることが多い。
・重量増は最小限で、乗り心地と耐パンク性能は大幅アップ。
・おしゃれなブラウンサイドで愛車の雰囲気をガラッと変えられる。
2024年リニューアル!新型グラベルキングの種類と28cのラインナップ

発売から10年が経過した2024年3月、パナレーサーはグラベルキングシリーズをフルリニューアルしました。ロゴのデザインが一新されただけでなく、中身のテクノロジーも大きく進化しています。
「旧型と何が違うの?」「種類が増えてどれを選べばいいかわからない」という方のために、28cサイズで選ぶべきモデルとその違いを整理しました。
基本となる「GRAVELKING(スタンダード)」
旧モデルでは「グラベルキング(スリック)」と呼ばれていた、最も標準的なモデルです。リニューアル後はシンプルに「GRAVELKING」という名称になりました。
表面に凸凹(ノブ)がないスリックパターンに近いデザインで、舗装路をメインに走るならこれがベストチョイスです。見た目はヤスリ目のような細かい模様が入っており、これが濡れた路面や軽い砂浮きでも滑らないグリップ力を生み出します。28cを選ぶロードバイクユーザーの9割は、このスタンダードモデルで満足できるはずです。
少しの砂利道も安心な「GRAVELKING SS(セミスリック)」
「SS」はセミスリックの略です。タイヤの中央部分は転がり抵抗の少ないスリックパターンですが、サイド部分に少し大きめの凸凹(ラグ)が配置されています。
コーナリング中に砂利や土の路面に入っても、サイドのラグが地面を噛んでスリップを防いでくれます。「基本は舗装路だけど、河川敷の砂利道や、キャンプ場の入り口も安心して走りたい」という欲張りな方には、このSSの28cがおすすめです。ただし、スタンダードに比べるとごくわずかに重量が増し、舗装路でのコーナリング感覚が少し変わる点には注意が必要です。
新素材「TuffTex」と「ZSG ARコンパウンド」の採用
今回のリニューアルの目玉が、タイヤの骨格となるケーシング(繊維層)の進化です。新開発の「TuffTex(タフテックス)」という素材が採用され、これまで以上にしなやかで、かつパンクに強くなりました。
また、28cなどの細めのサイズには、ロードバイクとの親和性を高めた「ZSG AR(オールロード)コンパウンド」が採用されています。これは、太いサイズに使われるグラベル専用コンパウンドとは異なり、舗装路での軽快な転がりを重視した配合です。つまり、新型の28cは「グラベルタイヤの頑丈さを持ったロードタイヤ」として進化しているのです。
用途に合わせて選べる3つのグレード(無印・Plus・R)
新型では、トレッドパターン(溝の形)だけでなく、スペック(中身のグレード)も選べるようになりました。
1. Standard(無印):
基本モデル。バランスが良く、価格も手頃。迷ったらコレ。
2. +(Plus):
「タフテックス・プラス」構造を採用し、耐パンク性能を極限まで高めたモデル。長期間の旅や通勤で絶対にパンクしたくない人向け。
3. R(Race):
新設された軽量グレード。しなやかさと軽さを追求しており、加速性能が高い。ロードバイクの走行性能を落としたくない人向け。
28cサイズでもこれらのグレード展開(在庫状況による)があるため、「軽さのR」か「安心のPlus」か、自分のスタイルに合わせて選ぶことができます。
ロードバイクやクロスバイクへの取り付けと互換性

「自分の自転車に28cのタイヤは付くの?」という疑問は、タイヤ交換前につきものです。特にロードバイクの場合、フレームやブレーキとの隙間(クリアランス)がシビアなことがあります。
ここでは、取り付けに関する注意点や、ホイールとの相性について解説します。
リムブレーキ車での28c装着の注意点
ディスクブレーキのロードバイクであれば、28cはほぼ問題なく装着できます。注意が必要なのは、従来型の「リムブレーキ(キャリパーブレーキ)」のロードバイクです。
一般的に、シマノの105(5800系以降)やアルテグラなどのブレーキキャリパーは28cに対応していますが、フレームの設計によってはタイヤがフレームに接触してしまう可能性があります。特に、古いレーシングフレームなどは「25cまで」しか入らない設計のものも多いです。購入前に、現在付いているタイヤとフレームの隙間が、上下左右ともに十分(4〜5mm以上)空いているかを確認しましょう。
ホイールのリム内幅(インナーリム幅)を確認しよう
タイヤの太さは、実はホイールの「リム内幅」によって変化します。最近のホイール(ワイドリム)に28cを装着すると、実測値で29mmや30mm近くまで膨らむことがあります。
逆に、古い細身のホイール(ナローリム・内幅15mmなど)に28cを付けると、タイヤが電球のように膨らみ、コーナーでの安定感が損なわれることがあります。グラベルキング28cの性能をフルに発揮するには、内幅17mm以上のホイール(いわゆるC17以上)での使用が推奨されます。
チューブレス運用か、クリンチャー(チューブ入り)か
グラベルキングの多くは「TLC(チューブレスコンパーチブル)」という規格で、チューブレスタイヤとしても、中にチューブを入れるクリンチャータイヤとしても使えます。
新型グラベルキングでは「BeadLock(ビードロック)」という技術が導入され、チューブレス時の空気漏れ防止と、リムへの嵌めやすさが改善されました。「フロアポンプでもビードが上がりやすい」と評判です。乗り心地を究極まで高めたいならチューブレスがおすすめですが、管理が不安な方は、まずは普通のチューブを入れて(クリンチャーとして)使い始めても全く問題ありません。
実際の走行感は?舗装路から軽い砂利道までのインプレッション

スペック上の話だけでなく、実際にグラベルキング 28cで走ってみるとどのような感覚なのでしょうか。舗装路、荒れた道、そして雨の日など、シチュエーションごとのインプレッションをお伝えします。
舗装路:意外なほど「重くない」転がり
「耐久性の高いタイヤ=重くて進まない」というイメージがあるかもしれませんが、グラベルキング 28c(特にスタンダードモデル)は良い意味でその期待を裏切ります。
走り出しこそ軽量なレース用タイヤ(23cや25c)に劣りますが、一度スピードに乗ってしまえば、非常になめらかに進みます。独自の「ZSG ARコンパウンド」のおかげで、アスファルトの上でも「モチッ」としつつ「スルスル」進む独特の感覚があります。時速25km〜30km程度のツーリングペースであれば、抵抗感を感じることはほとんどないでしょう。
むしろ、路面の微振動がカットされるため、速度維持が楽に感じる場面も多いです。
荒れた舗装路・段差:絨毯の上を走るような感覚
グラベルキング 28cが本領を発揮するのは、路面状態が悪い場所です。ひび割れたアスファルト、マンホールの段差、道路脇に溜まった小石ゾーンなど、今まで「ガツン!」と衝撃が来ていた場所が、「トンッ」という軽い衝撃に変わります。
まるで薄い絨毯の上を走っているようなマイルドな感覚は、ロングライド後半での身体の痛み(首、肩、腰)を大幅に軽減してくれます。「もっと遠くまで走ってみたい」と思わせてくれる、優しい乗り味です。
未舗装路(ライトグラベル):28cの限界と可能性
では、砂利道(グラベル)はどこまで走れるのでしょうか。結論から言うと、「踏み固められた土の道」や「細かい砂利道」なら28cでも楽しく走れます。
河川敷のフラットなダートや、公園内の未舗装路程度なら問題ありません。しかし、石がゴロゴロしている本格的な林道や、ぬかるんだ泥道では、28cでは細すぎてタイヤが埋まってしまったり、グリップを失ったりします。あくまで「ロードバイクで通過できる範囲が広がる」という認識で、無理なオフロード走行は避けるのが賢明です。
ウェットコンディション:雨の日でも安心のグリップ
ツーリング中に突然の雨に見舞われることもあります。グラベルキングのコンパウンド(ゴム)は、天候変化に強い特性を持っています。
表面の細かいヤスリ目パターンが水を逃がしてくれるため、濡れた白線やマンホールの上でも、ツルッといきにくい安心感があります。もちろん過信は禁物ですが、スリックタイヤに比べてウェット路面での精神的な余裕は段違いです。これが、通勤ライダーに支持される大きな理由の一つです。
グラベルキング 28cを長持ちさせる運用とメンテナンス

せっかく良いタイヤを履くのですから、できるだけ長く、良い状態で使いたいものです。グラベルキング 28cの性能を維持するための運用ポイントと、日常のメンテナンスについて解説します。
空気圧の設定が「乗り心地」の鍵
28cタイヤを使う際、最も重要なのが空気圧です。23c時代の感覚で7bar(100psi)以上入れてしまうと、タイヤがカチカチになり、グラベルキングの良さである「しなやかさ」が消えてしまいます。
体重や車重にもよりますが、28cの場合、以下のような低めの空気圧設定がおすすめです。
- チューブ入りの場合: 5.5 〜 6.5 bar(80 〜 95 psi)前後
- チューブレスの場合: 4.0 〜 5.5 bar(60 〜 80 psi)前後
「こんなに低くて大丈夫?」と思うかもしれませんが、適正な低圧にすることで、グリップ力と振動吸収性が最大化され、転がり抵抗も(荒れた路面では逆に)低くなります。ぜひ、いつもより少し空気を抜いて試してみてください。
摩耗サインと寿命の見極め方
グラベルキングは耐久性が高いタイヤですが、それでも消耗品です。交換時期の目安としては、走行距離3,000km〜5,000km程度が一般的ですが、乗り方によって大きく変わります。
タイヤの頂点(接地面)が平らになってきたり(台形摩耗)、細かいひび割れが目立ってきたら交換のサインです。特に、サイドウォール(側面)が擦れて繊維が見えてきた場合は、バーストの危険があるため早めに交換しましょう。新型の「TuffTex」ケーシングは耐久性が向上していますが、定期的なチェックは欠かせません。
ブラウンサイド(茶色)の汚れ落とし
人気のブラウンサイドモデルですが、長く使っているとブレーキの汚れや泥汚れで黒ずんでくることがあります。これを放置すると、せっかくのおしゃれな外観が台無しです。
掃除の際は、中性洗剤と柔らかいブラシ(歯ブラシなど)を使って優しく洗うのがコツです。パーツクリーナーなどの強い溶剤を使うと、ゴムを傷めたり変色させたりする原因になるので避けましょう。定期的に水拭きをするだけでも、きれいな状態を長く保てます。
メモ:
チューブレス運用でシーラントを入れている場合、半年〜1年に一度はシーラントの補充や入れ替えが必要です。内部で乾いてしまうと、パンク防止効果がなくなってしまいます。
まとめ:グラベルキング 28cで走りの世界を広げよう
ここまで、パナレーサー「グラベルキング 28c」の魅力について詳しく解説してきました。最後に要点を振り返りましょう。
グラベルキング 28cは、単なる「流行りの太いタイヤ」ではありません。それは、ロードバイクが本来持っている「速さ」を犠牲にすることなく、「どこへでも行ける自由」と「いつまでも走っていたい快適さ」を与えてくれる、魔法のようなパーツです。
記事のポイント
1. 28cは万能サイズ:ロードバイクの軽快さとクロスバイクの安定感を両立。
2. 新型はさらに進化:2024年モデルは新素材「TuffTex」でしなやかさと耐久性が向上。
3. 選べるラインナップ:舗装路メインなら「Standard」、少しの砂利も行くなら「SS」がおすすめ。
4. 空気圧が重要:少し低めの空気圧に設定することで、真の性能を発揮する。
5. カスタムも楽しい:ブラウンサイドを選べば、愛車の見た目も一気におしゃれに。
通勤路の段差にストレスを感じている方、週末のサイクリングで脇道の景色が気になっている方、そしてロードバイクにもっとリラックスして乗りたい方。そんな全ての人にとって、グラベルキング 28cは間違いのない選択肢になるはずです。
次のタイヤ交換では、ぜひグラベルキングを選んで、新しい走りの世界を体感してみてください。


