自転車のタイヤに空気を入れるとき、「pounds per square inch」という文字や「PSI」という表記を見かけたことはありませんか?これはタイヤの空気圧を示す重要な単位です。適切な空気圧を知ることは、自転車の走り心地を良くするだけでなく、パンクなどのトラブルを防ぐためにも欠かせません。
しかし、日本で馴染みのある「気圧(Bar)」や「キロパスカル(kPa)」とは数字が大きく異なるため、戸惑ってしまう方も多いはずです。この記事では、自転車ライフに欠かせない「pounds per square inch(PSI)」の意味や読み方、適正な空気圧の決め方について、初心者の方にもわかりやすく解説します。正しい知識を身につけて、より快適で安全なサイクリングを楽しみましょう。
pounds per square inch(PSI)の意味と自転車における重要性

自転車のタイヤ側面や空気入れのメーターを見ると、必ずと言っていいほど「PSI」という文字が書かれています。これは単なる記号ではなく、タイヤの性能を最大限に引き出すための重要なメッセージです。まずはこの言葉の意味と、なぜ自転車にとって大切なのかを紐解いていきましょう。
PSIの定義と読み方
「PSI」は「ピー・エス・アイ」と読み、正式名称は「pounds per square inch(ポンド・パー・スクエア・インチ)」です。これは、1平方インチ(約6.45平方センチメートル)の面積に対して、何ポンド(1ポンドは約453グラム)の重量がかかっているかを表す圧力の単位です。
日本やヨーロッパでは圧力を表す際に「Bar(バール)」や「kPa(キロパスカル)」を使うのが一般的ですが、アメリカやイギリスなどヤード・ポンド法を使用する国では、このPSIが標準的に使われています。自転車業界はアメリカのメーカーの影響力が強いため、日本国内で流通しているタイヤやポンプにも、このPSI表記が広く採用されているのです。
なぜ自転車ではPSIが使われるのか
自転車、特にマウンテンバイク(MTB)やBMXといったジャンルはアメリカで発展した歴史があります。そのため、タイヤの規格や空気圧の単位もアメリカ基準であるPSIが長く使われてきました。ロードバイクなどのヨーロッパ発祥の自転車ではBar表記も一般的ですが、世界中で販売されるタイヤには、利用者が困らないようにPSIとBarの両方が併記されることがほとんどです。
また、PSIはBarに比べて数字の刻みが細かいという特徴があります。例えば、ロードバイクでよく使われる「7.0 Bar」は約「100 PSI」になりますが、微調整をする際に「100、105、110」といった整数で細かく管理しやすいというメリットもあります。この細かさが、デリケートな空気圧管理を好むサイクリストに支持されている理由の一つかもしれません。
適正な空気圧が走りを変える理由
タイヤの空気圧は、自転車の「乗り心地」と「速さ」を決定づける最も重要な要素の一つです。適正な空気圧が入っているタイヤは、ライダーのペダリングパワーを効率よく路面に伝え、軽快に進んでくれます。
逆に、空気圧が適切でないと、どれほど高価な自転車に乗っていてもその性能を発揮することはできません。タイヤは自転車と地面が接する唯一の部品です。その中に入っている「空気」こそが、サスペンションのように衝撃を吸収したり、タイヤの形状を維持してグリップ力を生み出したりする役割を担っています。PSIの数値を理解し、自分の自転車に合った空気圧に設定することは、走りの質を劇的に向上させる第一歩となります。
空気圧不足と入れすぎのリスク
空気圧は「高ければ高いほど良い」わけでも、「低ければ乗り心地が良い」という単純なものでもありません。適正範囲を外れた設定には、それぞれ大きなリスクが伴います。
まず、空気圧が低すぎる場合(PSI値が小さすぎる場合)に起こりやすいのが「リム打ちパンク」です。段差を乗り越えた際にタイヤが潰れすぎてしまい、中のチューブがホイールの枠(リム)と地面に挟まれて穴が開いてしまう現象です。また、タイヤがふにゃふにゃしてハンドル操作が不安定になり、転倒のリスクも高まります。
一方、空気を入れすぎた場合(PSI値が大きすぎる場合)は、タイヤがカチカチになりすぎて路面の凹凸を吸収できず、跳ねるような乗り心地になります。振動が体に直接伝わり疲れやすくなるだけでなく、グリップ力が低下してスリップしやすくなる危険性もあります。最悪の場合、タイヤが耐えきれずに破裂(バースト)することさえあるため、指定された最大PSIを超えないように注意が必要です。
PSI・Bar・kPaの違いと換算方法をマスターする

自転車用の空気入れ(フロアポンプ)には、PSIだけでなくBarやkPaといった複数の目盛りがついていることが多いです。これらの単位の関係性を理解しておけば、どの表記を見ても迷わずに空気を入れられるようになります。
Bar(バール)との関係性
日本では天気予報などで「気圧」という言葉に馴染みがあるため、Bar(バール)の方が感覚的に分かりやすいという方も多いでしょう。Barは国際的に広く使われている圧力の単位で、海面での大気圧(1気圧)が約1.013 Barです。
PSIとBarの換算は、大まかに以下の式で覚えおくと便利です。
1 Bar ≒ 14.5 PSI
逆に、
1 PSI ≒ 0.07 Bar
となります。暗算するのは少し大変ですが、「100 PSI がだいたい 7 Bar」という基準点を持っておくと、そこから多いか少ないかで判断しやすくなります。
kPa(キロパスカル)について
kPa(キロパスカル)は、国際単位系(SI)に基づく正式な圧力単位であり、日本の計量法などでも推奨されています。自動車のタイヤ空気圧などはkPaで表示されることが一般的です。自転車タイヤでも「MAX 700 kPa」のように表記されていることがあります。
BarとkPaの関係は非常にシンプルで、
1 Bar = 100 kPa
です。つまり、7 Bar は 700 kPa となります。PSIとの関係では、
1 PSI ≒ 6.9 kPa
となりますが、これは少し計算が面倒なので、基本的には「Bar」を仲介して考えると分かりやすいでしょう。自転車界ではkPa単独で管理することは少なく、BarかPSIがメインで使われています。
早見表で確認する換算の目安
いちいち計算機を取り出すのは面倒ですので、よく使われる空気圧の換算早見表を作成しました。自分の自転車の適正値がどのあたりにあるか、チェックしてみてください。
| PSI (pounds per square inch) | Bar (バール) | kPa (キロパスカル) | 主な用途の目安 |
|---|---|---|---|
| 40 PSI | 2.8 Bar | 275 kPa | MTB、太めのクロスバイク |
| 60 PSI | 4.1 Bar | 415 kPa | クロスバイク、グラベルロード |
| 80 PSI | 5.5 Bar | 550 kPa | クロスバイク、太めのロード |
| 100 PSI | 6.9 Bar | 690 kPa | 一般的なロードバイク |
| 120 PSI | 8.3 Bar | 830 kPa | 細いタイヤのロードバイク |
ポンプのゲージの見方と注意点
空気入れ(フロアポンプ)に付いているメーター(エアゲージ)には、内側と外側で異なる単位が書かれている「2重目盛り」のタイプが主流です。例えば、外側の黒い数字がPSI、内側の赤い数字がBarといった具合です。
ここで初心者がやりがちなミスが、「PSIを見て入れるべきなのに、Barの目盛りを読んでしまった」あるいはその逆のパターンです。「100まで入れよう」と思って、誤って100 Bar(これはあり得ませんが)や100 kPa(約1 Bar、低すぎる)に合わせてしまうと大変です。必ず針が指している数字の近くに書かれている単位(「PSI」や「Bar」)を確認してからポンピングを始めましょう。
【車種別】適正PSI値の目安とセッティングのコツ

「じゃあ、結局いくつ入れればいいの?」という疑問にお答えします。適正なPSI値は、自転車の種類やタイヤの太さによって大きく異なります。ここでは車種ごとの一般的な目安を紹介しますが、これはあくまでスタート地点です。最終的にはタイヤ側面の表記を優先してください。
ロードバイクの適正空気圧
ロードバイクは細いタイヤで舗装路を高速走行するため、比較的高圧に設定します。かつては23C(23mm幅)という細いタイヤが主流で、その頃は「100〜120 PSI(約7〜8.3 Bar)」程度入れるのが常識でした。
しかし、近年は25Cや28Cといった少し太めのタイヤがトレンドになっており、それに伴い適正空気圧も下がる傾向にあります。25Cなら「90〜100 PSI」、28Cなら「80〜90 PSI」程度で運用する人が増えています。タイヤが太くなると空気の容量が増えるため、圧力を少し下げてもリム打ちパンクのリスクが減り、むしろ乗り心地とグリップが向上して速く走れることが分かってきたからです。
クロスバイクの標準的な設定
街乗りや通勤・通学によく使われるクロスバイクは、ロードバイクよりも太めでクッション性のあるタイヤ(28C〜35C程度)を履いています。そのため、適正PSI値はロードバイクよりも低めになります。
一般的には「60〜80 PSI(約4.1〜5.5 Bar)」あたりが目安です。この範囲内であれば、歩道の段差などもある程度快適に乗り越えられ、かつペダルを漕いだ時の軽さも維持できます。もし硬い乗り心地が苦手なら60 PSI寄り、スピードを出したいなら80 PSI寄りに調整すると良いでしょう。
マウンテンバイク(MTB)の低圧設定
マウンテンバイクは、土の上や砂利道、木の根っこなどの悪路を走るために設計されています。タイヤは非常に太く(2.0インチ以上など)、凸凹を包み込むように走る必要があるため、空気圧はかなり低く設定します。
目安としては「30〜50 PSI(約2.0〜3.4 Bar)」程度です。本格的に山道を走る場合はさらに下げて20 PSI台にすることもありますが、街乗りで使用する場合は、転がり抵抗を減らすために40〜50 PSI程度入れておくと、アスファルトの上でもスムーズに走ることができます。MTBにロードバイクのような高圧(100 PSIなど)を入れてしまうと、タイヤが破裂する危険性が高いため絶対に避けてください。
ミニベロや折りたたみ自転車の場合
タイヤの径が小さいミニベロ(小径車)は、タイヤの周長が短く回転数が多いため、転がり抵抗の影響を受けやすい自転車です。また、タイヤの種類もママチャリに近いものからロードバイク並みの高性能なものまで幅広いため、適正PSIの幅も広くなります。
スポーツタイプのミニベロであれば「60〜100 PSI」と高めの設定が多く、街乗り重視のタイプであれば「40〜65 PSI」程度が一般的です。小径車のタイヤは空気が入る絶対量が少ないため、空気が抜けた時の圧低下が早い傾向にあります。こまめなチェックが特に重要です。
電動アシスト自転車(e-bike)のトレンド
近年普及が進む電動アシスト自転車、特にスポーツタイプのe-bikeは、車体重量が重いため、タイヤにかかる負担が大きくなります。そのため、耐荷重性能が高い太めのタイヤが装着されていることが多いです。
基本的にはクロスバイクやMTBの基準に近いですが、車重がある分、あまり低圧にしすぎるとリム打ちパンクのリスクが高まります。タイヤの太さにもよりますが、「45〜70 PSI」あたりの、少し高めの範囲で管理することで、バッテリーの持ち(航続距離)を伸ばしつつ、パンクのリスクを減らすことができます。特に荷物を多く積む場合は、後輪の空気圧を高めに設定することをおすすめします。
タイヤのサイドウォール表記の読み解き方

ここまで一般的な目安をお話ししましたが、最も確実な正解は「あなたの自転車のタイヤそのもの」に書かれています。タイヤの側面(サイドウォール)をよく観察してみましょう。
MAX(最大空気圧)の意味
タイヤの側面には、メーカーが定めた仕様が刻印されています。よく見ると「MAX 120 PSI」や「INFLATE TO 100 PSI」といった文字が見つかるはずです。これは「この数値までは安全に空気を入れられますよ」という上限値(最大許容空気圧)を示しています。
重要なのは、必ずしもこのMAX値まで入れなければならないわけではないということです。MAX値はあくまで「限界」であり、乗り心地やグリップを考慮すると、MAX値から10〜20%程度引いた数値が、その人にとっての「適正値」になることが多いです。MAXギリギリまで入れると、タイヤが硬すぎて跳ねてしまうことがあります。
MIN(最小空気圧)と推奨範囲
多くのタイヤには「MIN 60 – MAX 90 PSI」のように、範囲で記載されています。これは「最低でも60 PSIは入れてください、でも90 PSIは超えないでください」という意味です。
この範囲内であれば、メーカーが保証する性能を発揮できます。体重が軽い人はMINに近い数値、体重が重い人や荷物を積む人はMAXに近い数値を選ぶのがセオリーです。もしMINの表記がなくMAXのみの場合は、やはりMAXの8割〜9割程度を目安に運用し、様子を見て調整するのが安全です。
表記が見当たらない場合の対処法
古いタイヤや、デザイン重視のタイヤの場合、文字がゴムと同色で非常に読みにくかったり、摩耗して消えてしまっていたりすることがあります。また、ママチャリなどの一般車用タイヤではPSI表記がなく、kPaやkgf/cm²のみの場合もあります。
もしどうしても表記が見つからない場合は、自転車を購入したショップに問い合わせるか、同じ太さの一般的なタイヤの数値を参考にしつつ、少し低めの値から徐々に空気を入れて様子を見ましょう。指で押してみて、しっかりと張りがあり、乗車した際にタイヤが少しだけ(数ミリ程度)たわむ状態が理想的です。
メーカーによる表記の違い
タイヤメーカーによって、表記の仕方に若干のクセがあります。例えば、ヨーロッパのメーカー(ContinentalやMichelinなど)はBar表記を大きく書き、PSIを小さく併記することがあります。逆にアメリカ系やアジア系のメーカーはPSIをメインに扱うことが多いです。
また、「Rec. Pressure(推奨空気圧)」と「Max Pressure(最大空気圧)」を分けて記載している親切なメーカーもあります。この場合は、「Rec.」の数値を基準にするのが最も失敗がありません。自分の使っているタイヤがどのようなスタンスで数値を指定しているのか、一度じっくり読んでみることをおすすめします。
自分にベストなPSIを見つけるための調整テクニック

メーカー推奨値はあくまで「万人向け」の数値です。そこから自分専用のベストな空気圧を見つける作業こそ、自転車趣味の醍醐味の一つと言えます。プロのサイクリストも実践している調整の考え方をご紹介します。
体重に合わせた空気圧の微調整
タイヤにかかる負荷は、乗り手の体重によって大きく変わります。体重50kgの人と80kgの人では、タイヤを適正に変形させるために必要な圧力が異なります。
一般的に、体重が重い人は空気圧を高めに、軽い人は低めに設定します。おおよその目安として、体重が10kg増減するごとに、空気圧を数PSI〜10PSI程度調整すると良いと言われています。例えば、標準的な男性(65kg)で100 PSIが適正な場合、50kgの女性なら90 PSI程度まで下げたほうが、タイヤが跳ねずに快適に走れる可能性が高いです。
タイヤの太さ(リム幅)との関係
前述のとおり、タイヤは太くなればなるほど、低い空気圧で性能を発揮します。これは「エアボリューム(空気の量)」が増えるためです。たくさんの空気が入っている太いタイヤは、圧力が低くても底付きしにくく、クッション性を保てます。
もしタイヤを25Cから28Cに交換した場合、これまでと同じ100 PSIを入れてしまうと、硬すぎて乗り心地が悪化します。太くしたら空気圧を下げる、細くしたら上げる。この原則を覚えておきましょう。最近の「ワイドリムホイール」を使用している場合も、タイヤの実質幅が広がるため、空気圧を少し下げるのがトレンドです。
路面状況や天気によるアレンジ
走る環境に合わせて空気圧を変えるのも上級者のテクニックです。きれいに舗装されたサイクリングロードを走るなら、高めの設定で転がり抵抗を減らし、スピードを稼ぐのが良いでしょう。
逆に、路面が荒れていたり、雨が降っていたりする場合は、普段より10〜15 PSI程度空気圧を下げます。タイヤを少し柔らかくすることで、路面の凹凸を包み込んで振動を減らしたり、接地面積を増やしてスリップを防いだりする効果が得られます。特に雨の日のマンホールや白線は滑りやすいので、少し空気圧を下げるだけで安心感が大きく変わります。
チューブの種類による空気の抜けやすさ
タイヤの中に入っている「チューブ」の素材によっても、空気圧管理のシビアさが変わります。一般的な「ブチルチューブ(黒いゴム)」は空気の持ちが良いですが、レース用などに使われる「ラテックスチューブ(乳白色やピンク)」は非常に空気が抜けやすい性質があります。
ラテックスチューブを使用している場合、一晩で数十PSI抜けてしまうことも珍しくありません。この場合は「週に一度」ではなく、「乗るたびに必ず」空気を入れる必要があります。自分が使っているチューブの特性も考慮して、空気を入れる頻度を調整しましょう。
空気圧管理に役立つアイテムとメンテナンス

適正なPSI値を維持するためには、正確な道具と正しい習慣が必要です。ここでは、おすすめのアイテムや空気を入れる際のコツを紹介します。
空気圧計(エアゲージ)の選び方
フロアポンプに付いているアナログのゲージは便利ですが、製品によっては誤差が大きいこともあります。より厳密にPSI管理をしたい場合は、単体の「デジタルエアゲージ」を一つ持っておくと非常に便利です。
手のひらサイズのデジタルゲージなら、ライド前の確認はもちろん、出先でパンク修理をした際にも正確な空気圧まで復帰させることができます。特に低圧で管理するMTBやグラベルロードでは、1〜2 PSIの違いが走りに影響するため、デジタルの正確さが重宝されます。
フロアポンプと携帯ポンプの使い分け
自宅でのメンテナンスには、必ず大きくて安定した「フロアポンプ」を使いましょう。一度のストロークで多くの空気が入るため楽ですし、高圧でも安定して入れられます。PSIの目盛りが大きく見やすいものを選ぶのがポイントです。
一方、ツーリングに持っていく「携帯ポンプ」はあくまで緊急用です。小型のため、指定のPSIまで上げるには数百回ポンピングする必要があるなど、かなりの重労働になります。携帯ポンプで完全に適正圧まで上げるのは難しいため、とりあえず走れる程度まで入れ、帰宅後にフロアポンプで入れ直すのが一般的です。
空を入れる頻度とタイミング
「自転車の空気は一度入れたら半年くらい持つ」と思っていませんか?実は、自転車のタイヤ(特に高圧なロードバイク)は、乗らなくてもゴムの分子の隙間から自然に空気が抜けていきます。
理想的な頻度は以下の通りです。
・ロードバイク:乗るたび、もしくは最低でも週に1回
・クロスバイク・MTB:1〜2週間に1回
・ママチャリ:1ヶ月に1回
「乗ろうと思ったらタイヤがぺちゃんこだった」という状態は、タイヤを傷める原因になります。週末ライダーの方であれば、金曜日の夜や土曜日の朝、走り出す直前に必ず空気圧チェックを行う習慣をつけましょう。
アプリや計算機を使った適正値の算出
最近では、タイヤメーカー(SRAMやSilcaなど)がWeb上で「空気圧計算ツール」を公開しています。自分の体重、自転車の種類、タイヤの幅、路面状況などを入力すると、科学的根拠に基づいた推奨PSI値を弾き出してくれます。
便利な計算ツール例:
SRAM AXS Web Tire Pressure Guide
SILCA Professional Tire Pressure Calculator
これらのツールを使うと、「今まで100 PSI入れていたけど、実は85 PSIが最適だった」といった発見があるかもしれません。あくまで参考値ですが、自分流のセッティングを見つけるための強力なヒントになります。
pounds per square inch(PSI)を理解して快適なサイクルライフを
「pounds per square inch」という長い名前の単位も、意味を知ってしまえば自転車の性能を引き出すための大切なパートナーになります。PSIは単なる数字ではなく、タイヤと路面をつなぐ「対話のツール」です。
正しい空気圧管理は、高価なパーツを買わなくてもすぐに実践できる、最も効果的なチューンナップです。まずは自分のタイヤの側面に書かれている推奨PSI値を確認することから始めてみてください。そして、体重や路面状況に合わせて少しずつ数値を調整してみましょう。「今日は空気が入りすぎて跳ねるな」「今日は少し下げてグリップが良いな」といった違いを感じ取れるようになれば、あなたのサイクリングはもっと奥深く、楽しいものになるはずです。
記事のポイント
・PSIはアメリカ由来の圧力単位で、自転車(特にスポーツ車)では世界標準。
・1 Bar ≒ 14.5 PSI という換算を覚えておくと便利。
・タイヤ側面の「MIN – MAX」の範囲内で、体重や好みに合わせて調整する。
・最近のトレンドは「少し太めのタイヤで、少し低めのPSI」。
・乗る頻度に関わらず、空気は自然に抜けるため定期的な充填が必要。
安全で快適なライドのために、ぜひ次の週末からPSIを意識した空気圧チェックを習慣にしてみてください。


