GPX KML変換をスムーズに!自転車ルート共有や管理に役立つ方法

GPX KML変換をスムーズに!自転車ルート共有や管理に役立つ方法
GPX KML変換をスムーズに!自転車ルート共有や管理に役立つ方法
通勤・旅・ルール・知識

「Googleマップで作ったルートを、そのままGarmin(ガーミン)などのサイクルコンピューターに入れたい」「サイクリングの記録をGoogle Earthの3D地図で振り返りたい」自転車を楽しんでいると、そんな場面に出くわすことがよくあります。

しかし、いざデータを移そうとすると「ファイル形式が違って読み込めない」という壁にぶつかりがちです。ここで必要になるのが、GPXとKMLの変換という作業です。

難しそうに聞こえるかもしれませんが、実は無料のWebサイトやツールを使えば、誰でも簡単に変換することができます。この記事では、自転車乗りが知っておくべきファイル形式の基礎知識から、具体的な変換手順、よくあるトラブルの解決法までを丁寧に解説します。デジタルツールを使いこなして、サイクリングの楽しみをさらに広げましょう。

GPXとKMLの違いと変換が必要なシーン

自転車のルート作成や走行ログの管理において、最も頻繁に登場するのが「GPX」と「KML」という2つのファイル形式です。これらはどちらも位置情報を扱うデータですが、得意とする分野や使われる場面が異なります。

まずは、それぞれの特徴と、なぜ変換作業が必要になるのかを整理しておきましょう。ここを理解しておくと、後述するツール選びや設定で迷うことがなくなります。

GPXファイルとは?(サイコンの標準規格)

GPX(GPS Exchange Format)は、その名の通りGPSデータをやり取りするための世界標準のフォーマットです。GarminやWahoo、Brytonといったサイクルコンピューター(サイコン)や、Stravaなどのフィットネスアプリで最も広く使われています。

このファイル形式の最大の特徴は、位置情報(緯度・経度)だけでなく、「時刻」「標高」「心拍数」「ケイデンス」といった、走行に関する詳細なデータを格納できる点にあります。そのため、サイクリングのログを記録したり、ナビゲーション用のルートデータをデバイスに取り込んだりする際には、基本的にこのGPX形式が選ばれます。

正確なナビゲーションを行うためには、単なる地点の登録だけでなく、通過するポイントが細かくつながった「軌跡(トラック)」のデータが必要不可欠であり、GPXはその役割を完璧に果たしてくれます。

KMLファイルとは?(Googleマップとの親和性)

KML(Keyhole Markup Language)は、Google EarthやGoogleマップでの表示に特化したファイル形式です。元々はGoogle Earthの前身であるKeyhole社のソフトのために開発されました。

KMLが得意とするのは、「地図上での視覚的な表現」です。線の色や太さを指定したり、ピン(アイコン)のデザインを変えたり、写真や説明文をポップアップで表示させたりすることができます。そのため、ツーリングの計画を地図上でプレゼンテーションしたり、ブログにルートマップを埋め込んだりする際によく利用されます。

また、Googleマップの「マイマップ」機能で作成したルートをエクスポート(書き出し)する場合、標準で出力されるのはこのKML(または圧縮されたKMZ)形式となります。

なぜ変換が必要なの?(ルート作成の悩み)

ここで多くのサイクリストが直面するのが、「使いたいソフトとデバイスの間で形式が合わない」という問題です。例えば、Googleマップは検索機能が優秀で、コンビニや絶景スポットを探しながらルートを引くのには最適です。しかし、そこで作ったルート(KML)は、そのままでは多くのサイクルコンピューター(GPX対応)に入れることができません。

逆に、サイコンで記録したログ(GPX)を、Google Earthのきれいな3D地図で再現したい場合も、そのままでは読み込めないことがあります(最近は対応している場合もありますが、変換した方が挙動が安定します)。

このように、「計画(Googleマップ)」から「実行(サイコン)」へ、あるいは「実行(サイコン)」から「振り返り(Google Earth)」へとデータを渡す橋渡しの役割として、ファイル変換が必要になるのです。

KMZファイルについての基礎知識

KMLについて調べていると、「KMZ」という拡張子を見かけることが多いはずです。これは、簡単に言えば「KMLファイルをZip形式で圧縮したもの」です。

KMLファイル単体ではテキストデータしか扱えませんが、KMZにすることで、カスタムアイコンの画像データなどを一つのファイルにまとめてパッケージ化できます。また、ファイルサイズが小さくなるため、メールでの送受信やWebへのアップロードにも便利です。

ただし、古いサイクルコンピューターや一部の変換ツールでは、圧縮されたKMZのままでは読み込めないことがあります。その場合は、一度KMLに変換(解凍)するか、KMZに対応した高機能な変換サイトを使う必要があります。自転車用の変換では「中身はKMLと同じもの」と考えておけば問題ありません。

無料で使えるおすすめのGPX KML変換サイト・ツール

ファイルの変換には、特別な有料ソフトを購入する必要はありません。Webブラウザ上で動作する無料の変換サービスが充実しており、インストール不要ですぐに使い始めることができます。

ここでは、サイクリストの間で長年愛用されている定番サイトから、シンプル操作が魅力のツールまで、目的に合わせたおすすめを紹介します。

定番のGPS Visualizer(多機能・高精度)

自転車乗りの間で「最強の変換ツール」として名高いのが、「GPS Visualizer」という海外のWebサイトです。英語のサイトではありますが、その機能の豊富さは他の追随を許しません。

単にGPXとKMLを相互変換するだけでなく、Googleマップで引いたルートに「標高データ」を後付けしたり、時刻データのないルートに仮想の平均速度を設定して「擬似的な走行ログ」を作ったりすることも可能です。

入力できるファイル形式も非常に多く、複数のファイルを一つに結合する機能まで備わっています。「とりあえずこれを使っておけば間違いない」と言える、非常に信頼性の高いツールです。特に、山岳ルートを引く際に獲得標高を知りたい場合は、このサイトの機能が必須になります。

シンプルで使いやすいAnyConv(初心者向け)

「細かい設定はいいから、とにかく今すぐファイルを変換したい」という方には、「AnyConv」のような汎用ファイル変換サイトがおすすめです。

操作は非常にシンプルで、画面上にファイルをドラッグ&ドロップし、変換したい形式(GPXまたはKML)を選んでボタンを押すだけ。専門用語や複雑なオプション設定画面が出てこないため、PC操作に不慣れな方でも迷うことがありません。

ただし、GPS Visualizerのように標高データを補正したり、ルートのポイント数を調整したりする機能はありません。あくまで「形式だけを変える」という用途に割り切って使うのが良いでしょう。平坦な街乗りルートの変換などには十分役立ちます。

Google Earth Proを活用する方法(オフライン作業)

Webサイトにデータをアップロードしたくない場合や、オフライン環境で作業したい場合は、PC用ソフトの「Google Earth Pro」(無料)を変換ツールとして使うこともできます。

Google Earth Proは、GPXファイルを直接読み込むことができます。読み込んだデータを、画面左側のメニューから「名前を付けて場所を保存」を選び、ファイルの種類でKMLを指定すれば、変換完了です。

また、逆にKMLファイルを読み込み、GPSデバイスへ転送する機能も一部備えていますが、ルートデータの互換性を考えると、Google Earthはあくまで「GPXからKMLへの変換(可視化用)」として使うのが最もスムーズです。大画面でルートを確認しながら作業できるのがメリットです。

Googleマップで作ったルートをGPXにしてサイコンに入れる手順

ここでは、最も需要の高い「Googleマップ(マイマップ)で作成したルートを、Garminなどのサイコンに取り込む」までの具体的な手順を解説します。

Googleマップは検索機能が優秀ですが、そのままではサイコンで使えません。この「見えない壁」を乗り越える手順をマスターすれば、見知らぬ土地へのツーリング計画が驚くほど快適になります。

マイマップでのルート作成とKML書き出し

通常のGoogleマップではなく、「マイマップ(Google My Maps)」機能を使うのがポイントです。Googleアカウントにログインした状態でマイマップを開き、「新しい地図を作成」をクリックします。

ルート描画ツールを使って、出発地から目的地までの線を引いていきます。自動的に道路に沿ったルートが引かれるので、経由地を追加しながら理想のコースを作り上げましょう。

ルートが完成したら、画面左上のメニュー(点が3つ並んだアイコン)から「KML / KMZ へのエクスポート」を選択します。このとき、「.KML ではなく .KMZ にエクスポートする」というチェックボックスがありますが、後の変換サイトの対応状況によってはチェックを外してKMLとしてダウンロードする方が無難です(GPS Visualizerならどちらでも可)。

GPS Visualizerを使った変換と標高データの付与

ダウンロードしたKML(またはKMZ)ファイルを、GPXに変換します。ここでは「GPS Visualizer」を例にします。

  1. GPS Visualizerのトップページにある「Convert to a GPS file」をクリックします。
  2. 「Format」のプルダウンメニューから「GPX」を選択します。
  3. 「Upload your files here」の部分で、先ほど保存したKMLファイルを選択します。
  4. ここが重要です:「Add DEM elevation data」という項目を探し、「Best available」などを選択してください。これを行うことで、Googleマップには含まれていなかった「標高情報」がファイルに追加され、サイコン上で勾配や残り登坂高度が表示されるようになります。
  5. 「Convert」ボタンをクリックし、生成されたGPXファイルをダウンロードします。

Garmin ConnectやWahoo Elemntアプリへの取り込み

変換されたGPXファイルを入手したら、あとは各メーカーのクラウドサービスに取り込むだけです。

Garminの場合:
Web版の「Garmin Connect」にログインし、メニューの「トレーニングと計画」→「コース」を開きます。「インポート」という小さなリンクがあるので、そこからGPXファイルをアップロードします。地図上にルートが表示されたら、名前を付けて保存し、スマホアプリ経由でデバイスに転送します。

Wahooやその他の場合:
多くのスマホアプリ(Wahoo Elemntアプリなど)は、スマホ内のファイル操作でGPXを開くと、自動的にアプリが立ち上がりルートとして取り込んでくれます。iPhoneであればAirDropやiCloud Drive、Androidであればファイルマネージャーを活用するとスムーズです。

走行ログ(GPX)をKMLに変換してGoogle Earthで振り返る

サイクリングから帰ってきた後、ただ数字(距離や平均速度)を見るだけではもったいないです。自分が走った軌跡を3D地図上に再現すると、旅の思い出がより鮮明に蘇ります。

ここでは、サイコンで記録したGPXデータをKMLに変換し、Google Earthで楽しむ方法を紹介します。

サイコンやStravaからのGPXエクスポート

まずは、走行ログの元データであるGPXファイルを手元に用意します。

Garmin Connectの場合:
Web版のアクティビティ詳細ページを開き、右上の歯車アイコンから「GPXへのエクスポート」を選択します。Google Earth用に直接出力する機能もありますが、バックアップの意味も兼ねて一度GPXで保存することをおすすめします。

Stravaの場合:
Web版のアクティビティページで、メニュー(・・・アイコン)から「GPXのエクスポート」を選びます。これで、時間や心拍データを含んだ生のログファイルが手に入ります。

KMLへの変換とGoogle Earthへのインポート

手に入れたGPXファイルを、再び変換ツールでKML(またはKMZ)に変換します。「GPS Visualizer」を使う場合は、出力形式を「Google Earth KML」にするだけです。

変換したファイルをダブルクリックすれば、PCにインストールされているGoogle Earth Proが自動的に起動し、地球儀の上にあなたの走ったルートが重ねて表示されます。スマホ版のGoogle Earthアプリで見たい場合は、ファイルをGoogleドライブなどに保存し、スマホ側から開くことで表示可能です。

3Dビューで振り返るツーリングの楽しさ

Google Earthでルートを表示する最大のメリットは、「地形の起伏」や「周囲の景観」をリアルに追体験できることです。

視点を傾けて山岳ルートを見れば、「こんな急な坂を登っていたのか!」と驚くことでしょう。また、「ツアー機能」を使えば、ルート上をカメラが自動で移動しながら再生してくれるため、まるでドローンで空撮したような映像を楽しむことができます。

このKMLファイルを仲間に送れば、写真だけでは伝わらない「走った道の厳しさや美しさ」を共有することができます。ブログやSNSに埋め込む際も、静止画の地図よりKMLを活用したインタラクティブな地図の方が、読者の興味を強く惹きつけます。

変換時に起こりやすいトラブルと対処法

GPXとKMLの変換は基本的には簡単ですが、ファイルの構造や文字コードの問題で、思わぬエラーに遭遇することがあります。「なぜか読み込めない」「表示がおかしい」といったトラブルは、原因さえ分かればすぐに対処できます。

ここでは、自転車用のデータ変換でよく起こる5つのトラブルとその解決策をまとめました。

ファイルが読み込めない・エラーが出る場合

変換サイトや取り込み先のアプリでエラーが出る場合、最も多い原因は「XML構文のエラー」「非対応の拡張子(KMZ)」です。

まず、ファイル名に日本語が含まれている場合は、半角英数字(例:route01.gpx)に変更してみてください。一部の海外製ツールや古いデバイスは、ファイル名の日本語を認識できません。

また、前述の通り「KMZ」ファイルは圧縮されています。もしKMZでエラーが出る場合は、一度Google Earthで開いてからKMLとして保存し直すか、解凍ソフトを使って中身のKMLファイル(doc.kmlなど)を取り出してから変換ツールにかけてみてください。これだけで解決するケースが大半です。

ルートが途切れる・直線になってしまう現象

Googleマップから変換したはずなのに、サイコンで見ると「ポイント間が直線で結ばれているだけ」で、道に沿っていないことがあります。

これは、データが「トラック(軌跡)」ではなく「ウェイポイント(地点)」の集合として扱われている場合に起こります。変換ツール(特にGPS Visualizer)の設定で、「Output format」を「GPX」にする際、「Force text/lines to be a track(テキストや線をトラックとして強制変換)」といったオプションを有効にする必要があります。

逆に、ルートが途中で途切れてしまう場合は、複数のセグメントに分かれている可能性があります。変換ツールの「Merge all tracks(すべてのトラックを結合)」機能を使うことで、一本のつながったルートとして修正できます。

標高データが含まれていない時の対処

「獲得標高が0mになる」「勾配が表示されない」という問題は、Googleマップなどの地図ソフトからエクスポートしたデータに、そもそも標高情報が入っていないことが原因です。地図上の線には、本来高さの概念がないからです。

これを解決するには、必ず「DEM(数値標高モデル)データの付与」に対応した変換サイトを通す必要があります。GPS Visualizerであれば「Add DEM elevation data」を選択します。

ただし、この後付けの標高データはあくまで衛星データなどに基づいた計算値です。実走時の気圧高度計で計測したデータに比べると多少の誤差(橋やトンネルでのズレなど)が出ることは覚えておきましょう。それでも、0mよりは遥かに役立ちます。

日本語の文字化けを防ぐコツ

変換したデータをサイコンや地図アプリで開いたとき、ルート名やポイント名が「」のように文字化けしてしまうことがあります。これは「文字コード」の不一致が原因です。

GPXやKMLファイルは、基本的に「UTF-8」という文字コードで保存されるべきですが、一部の国内ソフトや古いWindowsツールでは「Shift-JIS」で書き出されることがあります。

対処法としては、一度ファイルをメモ帳などのテキストエディタで開き、「名前を付けて保存」を選択します。その際、保存ダイアログの下部にある「文字コード」を「UTF-8」に変更して保存し直してください。これで多くのデバイスで日本語が正しく表示されるようになります。

ファイルサイズが大きすぎる時の軽量化

長距離のブルベや数日間のツーリングルートを作成すると、ポイント数が膨大になり、古いサイコン(eTrexの旧モデルなど)では「メモリ不足」や「ポイント数制限」で読み込めないことがあります。

この場合、ルートの精度を極力落とさずにデータを間引く「フィルター処理」が必要です。多くの変換サイトには「Max points(最大ポイント数)」を指定するオプションがあります。

例えば、100km程度のルートであれば、ポイント数を3000〜5000程度に制限しても、実用上のナビゲーション精度にはほとんど影響しません。読み込みエラーが出た場合は、このポイント数を少し減らして再変換・ダウンロードを試してみてください。

まとめ:GPX KML変換をマスターして快適な自転車ライフを

まとめ
まとめ

GPXとKMLの変換は、一見すると少し専門的でハードルが高く感じるかもしれません。しかし、今回紹介した「GPS Visualizer」などの便利なWebツールを使えば、誰でも手軽にファイルを相互変換することができます。

Googleマップでじっくり練り上げた理想のルートをサイコンに入れて走り出すワクワク感や、走り終わった後のログを3D地図で振り返る満足感は、自転車の楽しみを何倍にも膨らませてくれます。ファイル形式の違いという小さな壁を取り払うだけで、計画から記録まで、サイクリングのすべてのプロセスがよりスムーズで楽しいものになるはずです。

ぜひこの変換テクニックをマスターして、次の週末は新しいルートでの冒険に出かけてみてはいかがでしょうか。

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