自転車のメンテナンスをしているとき「リムテープがいらないホイールはないのかな?」と疑問に思ったことはありませんか。パンク修理の際やタイヤ交換のたびに、リムテープの状態をチェックしたり貼り替えたりするのは、意外と手間に感じるものです。リムテープは地味なパーツですが、実は走行の安全を守る非常に重要な役割を担っています。
一般的に、クリンチャータイヤ(チューブを入れるタイプ)を使用するホイールにはリムテープが必須です。しかし、最近では技術の進化により、構造的にリムテープを必要としないホイールや、テープの代わりとなる便利なアイテムも登場しています。この記事では、リムテープの必要性から、いらないホイールの特徴、代替案までを分かりやすく解説します。
リムテープの手間から解放されたい方や、足回りの軽量化を考えている方はぜひ参考にしてください。自分のライディングスタイルに合った最適な選択肢を見つけることで、日々のメンテナンスがより快適になり、トラブルの少ないサイクルライフを楽しめるようになります。それでは、リムテープの基本から見ていきましょう。
リムテープがいらないと言われるケースと本来の役割

自転車の世界で「リムテープがいらない」という言葉を耳にすることがありますが、これには明確な条件があります。まずは、なぜ通常はリムテープが必要なのか、その根本的な役割を理解することから始めましょう。役割を知ることで、自分のホイールにテープが必要かどうかが正しく判断できるようになります。
リムテープの基本的な役割とは?
リムテープの最大の役割は、空気圧で膨らんだインナーチューブが、ホイールにある「スポーク穴」に直接触れるのを防ぐことです。多くの自転車ホイールには、スポークを固定するためのニップルを通す穴が空いています。この穴の縁は金属が露出しており、非常に鋭利な状態になっていることが珍しくありません。
もしリムテープがなければ、チューブは高圧によって穴の中に押し込まれ、エッジの部分で傷ついてしまいます。これが原因で起こるパンクを「リム打ち」とは別に「リム穴パンク」と呼びます。リムテープはこの鋭い穴を塞ぎ、チューブを保護するためのクッション兼バリアとして機能しているのです。したがって、穴があるホイールには欠かせない存在です。
また、リムテープはニップルの頭による摩擦からもチューブを守っています。走行中の振動でニップルとチューブが擦れると、徐々にゴムが削れてスローパンクの原因になります。このように、目立たない存在ながらも、タイヤの内側でチューブの安全を24時間守り続けているのがリムテープというパーツなのです。
「いらない」とされるのは穴がないリムの場合
「リムテープがいらない」という主張が正しいケースは、物理的にホイールのリム面にスポーク穴が存在しない場合です。一部の高級ホイールや、特殊な工法で作られた完組ホイール(メーカーが組み立てた状態で販売するホイール)には、タイヤが設置する面に穴が一切空いていないタイプが存在します。
このようなホイールは、リムの内部構造を工夫することで、スポークを固定するニップルを外側から通さない設計になっています。穴がなければチューブが傷つく心配も、空気が漏れる心配もありません。そのため、構造的にリムテープを貼る必要がなく、そのままタイヤとチューブを装着して走行することが可能になります。
リムテープが不要なホイールは、メンテナンス性が高いだけでなく、テープ自体の重量を削減できるというメリットもあります。特に軽量化を重視するヒルクライマーや、機材のトラブルを極限まで減らしたいロングライダーにとって、穴のないリムは非常に魅力的な選択肢となります。ただし、こうしたホイールは一般的なものより価格が高めになる傾向があります。
リムテープを貼らないとどうなるか
もしスポーク穴があるホイールに、リムテープを貼らずにタイヤを装着して走行した場合、ほぼ確実にパンクが発生します。しかも、走り出してすぐにパンクするだけでなく、空気を入れた瞬間にチューブが穴に吸い込まれて破裂することもあります。これは非常に危険な状態で、走行中に発生すれば落車や大きな事故につながりかねません。
仮に運良くその場でパンクしなかったとしても、走行中の熱や圧力の変化によって、チューブは常にダメージを受け続けます。数キロ走った後に突然空気が抜けるといったトラブルは、このリムテープの不備が原因であることが多いです。また、古いリムテープを使い続けて、テープが穴の形に凹んでいる場合も、同様のリスクを抱えていると言えるでしょう。
リムテープは消耗品であり、時間の経過とともに硬化したり、熱で変形したりします。そのため、「一度貼れば一生大丈夫」というわけではありません。パンクのリスクを最小限に抑えるためには、定期的な点検と必要に応じた交換が不可欠です。安全な走行を支える土台として、リムテープのコンディションを把握しておくことは、サイクリストにとっての基本と言えます。
リムテープの重要ポイント
・スポーク穴からチューブを保護するのが主目的
・穴がない特殊なリムなら物理的に不要
・穴があるリムでテープを省略するのは絶対にNG
リムテープ不要なホイール(リム)の種類と特徴

リムテープを貼る手間を省きたいなら、最初から「テープ不要」の設計になっているホイールを選ぶのが近道です。こうしたホイールは「穴なしリム」と呼ばれ、特定のメーカーが独自の技術を投入して開発しています。どのような種類があるのか、その具体的な特徴やメリットについて詳しく見ていきましょう。
スポーク穴がない「完全密閉型」リム
最も代表的なリムテープ不要ホイールは、リムの内側にスポーク穴が全く空いていない「完全密閉型」のものです。イタリアの有名メーカーであるカンパニョーロやフルクラムの特定モデルがこの構造を採用しています。彼らは「MoMag(モーマグ)」という技術を使い、磁石を利用してニップルをリム内部の適切な位置まで誘導し、固定する手法を確立しました。
この構造の最大の利点は、リムテープがいらないことによる徹底した軽量化と、リム自体の剛性アップです。リムに穴を開けないことで、素材の強度を損なうことなく軽量なリムを作ることができます。また、穴からの浸水や汚れの侵入を防げるため、内部の腐食を抑える効果も期待できます。まさに、メンテナンスフリーと高性能を両立させた理想的な形と言えます。
ただし、ニップルが故障したりスポーク交換が必要になったりした際は、特殊な技術や工具が必要になることがあります。一般的な自転車店でも修理は可能ですが、通常のホイールよりも手間がかかる場合があるため注意が必要です。それでも、普段の運用においてリムテープの劣化を一切気にしなくて良いというメリットは、多くのライダーにとって代えがたい魅力となります。
チューブレス専用ホイールのメリット
近年普及しているチューブレス(チューブを使わない)タイヤに対応したホイールの中にも、リムテープ不要なモデルが増えています。特に「UST(ユニバーサル・システム・フォー・チューブレス)」規格を採用しているマヴィックなどのホイールは、リムに穴がない構造が多く見られます。チューブレス化において、空気漏れを防ぐための気密性は最も重要な要素です。
通常、チューブレスレディと呼ばれるホイールは、専用のテープを何重にも巻いて気密性を確保しますが、穴なしリムならその作業が一切不要です。タイヤを装着して空気を入れれば、それだけでシステムが完成します。テープの貼りムラによる空気漏れに悩まされることがないため、チューブレス初心者にとっても非常に扱いやすいのが特徴です。
また、テープがないことでタイヤの着脱がスムーズになるという副次的なメリットもあります。テープの厚みが原因でタイヤがはまりにくいというトラブルが解消されるため、出先でのパンク修理(チューブを入れての応急処置など)も比較的楽に行えます。走行性能の向上とメンテナンス性の向上を同時に手に入れたいなら、こうした専用設計のホイールが最良の選択となります。
購入前に確認すべきリムの形状
新しくホイールを購入する際、リムテープがいらないタイプかどうかを見分けるのは比較的簡単です。製品仕様の欄に「2-Way Fit(カンパニョーロ/フルクラム用語)」や「UST」と記載されているか、あるいは「リムテープ不要(No Rim Tape Required)」といった説明があるかを確認しましょう。最も確実なのは、タイヤを外した状態のリム底に穴があるかどうかを見ることです。
最近のカーボンホイールには、リム成形時に穴を開けない工法を採用しているものが増えています。こうしたモデルは見た目もスマートで、内側が滑らかに仕上がっています。一方で、安価なアルミホイールや、汎用性の高いチューブレスレディ対応ホイールの多くは、依然としてスポーク穴が開いており、リムテープが必要な構造になっています。
購入時には、自分の好みのタイヤシステム(クリンチャーなのかチューブレスなのか)と、メンテナンスの頻度を天秤にかけることが大切です。「とにかく面倒な作業を減らしたい」というのであれば、リムテープを必要としないホイールに投資する価値は十分にあります。ただし、将来的にスポークの調整が必要になった場合の手間も考慮に入れておくと、より納得感のある買い物ができます。
ホイールのリム底に穴がなければ「リムテープ不要」と判断できます。穴がある場合は、どんなに高性能なホイールでも適切なテープやプラグが必要です。
リムテープの代わりに使える「ベロプラグ」という選択肢

「ホイールを買い替える予算はないけれど、リムテープの貼り替え作業からは卒業したい」という方に人気なのが、ベロプラグ(Veloplugs)というアイテムです。これはテープの代わりに、スポーク穴一つひとつに小さなプラスチック製のキャップをはめ込む手法です。リムテープがいらない環境を擬似的に作り出せる、非常に賢い解決策と言えます。
ベロプラグとは?特徴と使い方
ベロプラグとは、アメリカのベロシティ社が開発した、スポーク穴専用の密閉プラグです。素材は非常に軽量で丈夫なプラスチックで作られており、穴の直径に合わせて「レッド」や「イエロー」といったサイズ展開がされています。使い方は非常にシンプルで、リムの穴に一つずつ指でパチンとはめ込んでいくだけです。
一度装着してしまえば、通常のリムテープのようにズレたり、時間の経過で凹んだりすることがほとんどありません。テープを均一に巻く技術も不要なため、誰でも確実に取り付けることができます。また、プラグ自体の高さが低く抑えられているため、タイヤのビード(タイヤの縁の部分)がリムの溝に落ちやすくなり、タイヤの着脱が楽になるというメリットもあります。
このプラグはクリンチャー専用であり、チューブレスには対応していませんが、クリンチャー派のライダーにとっては非常に画期的なアイテムです。テープ特有の「粘着剤によるベタつき」とも無縁になるため、リムの清掃も格段にスムーズになります。「テープを使わない」という選択肢を身近にしてくれる便利なパーツと言えるでしょう。
リムテープと比較した際のメリット
ベロプラグを導入する最大のメリットは、その驚異的な「軽さ」にあります。一般的なリムテープが1車輪分で15〜20g程度あるのに対し、ベロプラグなら数グラムで済みます。わずかな差に思えるかもしれませんが、回転体であるホイールの外周部での軽量化は、漕ぎ出しの軽さや加速感に直結します。手軽に足回りを軽くしたい人には最適です。
また、耐久性の面でもベロプラグは優れています。布製やポリウレタン製のリムテープは、数年使えば劣化して交換が必要になりますが、プラスチック製のプラグは半永久的に使用可能です。スポーク交換の際も、該当する箇所のプラグを外して作業し、終わったらまた戻すだけなので、テープを剥がして捨てて、新しいものを貼り直すという無駄が発生しません。
さらに、熱に強いという特徴もあります。長い下り坂でブレーキをかけ続けると、リムが熱を持ち、安価なリムテープだと熱で溶けたり変形したりしてパンクを誘発することがあります。しかし、ベロプラグは熱の影響を受けにくいため、ハードな走行条件下でも高い信頼性を維持できます。このように、軽量化・耐久性・信頼性の三拍子が揃った代替品なのです。
ベロプラグを使用する際の注意点
非常に便利なベロプラグですが、使用にあたってはいくつかの注意点があります。まず最も重要なのが「穴のサイズとの適合性」です。ホイールによってスポーク穴の直径は異なります。ベロプラグが穴に対して大きすぎるとはまりませんし、逆に小さすぎると走行中に外れてしまい、チューブを傷つけてしまいます。購入前に必ず自分のホイールの穴径を計測する必要があります。
次に、リムの形状によっては装着できないケースがある点です。リムの中央部が深く窪んでいる形状や、穴の間隔が極端に狭い特殊なリムでは、プラグが干渉して浮いてしまうことがあります。プラグがしっかり密着していない状態でチューブに空気を入れると、隙間にチューブが入り込んでパンクする恐れがあるため、装着後のチェックは入念に行わなければなりません。
また、先述の通りチューブレスタイヤには使用できません。ベロプラグはあくまでチューブの保護を目的としており、空気を完全に密閉する機能はないからです。基本的にはクリンチャーでの使用に限定されることを覚えておきましょう。こうした制限はありますが、条件さえ合えば、
となり得ます。
| 比較項目 | リムテープ | ベロプラグ |
|---|---|---|
| 重量 | 普通(15g〜) | 極軽量(5g以下) |
| 耐久性 | 1〜2年で交換推奨 | 半永久的に使用可能 |
| 着脱 | 貼り直しが必要 | 個別に脱着可能 |
| 対応タイヤ | クリンチャー/チューブレス | クリンチャーのみ |
チューブレス化でリムテープが不要になる条件

現在、自転車界のトレンドとなっているチューブレスタイヤですが、実は「チューブレスにすればリムテープがいらない」というのは半分正解で半分間違いです。システムの種類によって、テープが必要なケースと、全く不要なケースに分かれます。ここでは、チューブレス化を検討している方が知っておくべき「テープの要否」について整理します。
チューブレスレディとチューブレスの違い
まず理解しておくべきは、「チューブレスレディ」と「(ピュア)チューブレス」の違いです。現在市場に出回っている多くのホイールは「チューブレスレディ」です。これは、リム自体にはスポーク穴が開いており、そのままでは空気が漏れてしまうため、専用の気密テープ(チューブレスリムテープ)を貼ることで、初めてチューブレスとして機能するタイプです。
対して、本来の意味での「チューブレス」ホイール(USTなど)は、リムに穴が開いていない構造を指します。このタイプであれば、リムテープは一切いりません。つまり、チューブレス化においてリムテープをなくしたいのであれば、ホイール選びの段階で「チューブレスレディ」ではなく、穴のない「チューブレス専用リム」を選ぶ必要があります。
チューブレスレディは、ホイールを安価に、かつ軽量に作れるため普及していますが、テープの貼り付け作業が非常にシビアです。少しでもシワが寄ったり、空気が入ったりすると、そこからジワジワと空気が漏れてしまいます。リムテープがいらない環境を求めるなら、「テープで気密性を担保する」という手間がない純正チューブレスリムの優位性は非常に高いと言えます。
専用テープが必要なケースと不要なケース
多くのサイクリストが直面するのは、チューブレスレディホイールでの「テープ管理」です。この場合、リムテープがいらない状態にすることはできませんが、メンテナンスを楽にする工夫はあります。一度貼ったテープを長持ちさせるために、高品質なテープを選び、脱脂を徹底することです。しかし、どれほど丁寧に貼っても、タイヤ交換数回に一度はテープの貼り替えが必要になります。
一方で、リムテープ不要のホイール(カンパニョーロの2-Way Fitなど)であれば、タイヤを交換するたびに気密性を心配する必要はありません。バルブ付近の掃除をするだけで、すぐに新しいタイヤを装着できます。この「気楽さ」こそが、テープ不要ホイールを選ぶ最大の動機になるでしょう。テープ代というランニングコストがかからないのも魅力です。
ただし、穴なしリムであっても、バルブ(空気を注入する口)のゴムパッキンが劣化すると空気漏れが起きます。リムテープがないからといって完全にメンテナンスフリーというわけではなく、「トラブルの原因箇所を一つ減らせる」と考えるのが適切です。自分がどの程度メンテナンスに時間を割けるかによって、選ぶべきシステムは変わってきます。
シーラントとの兼ね合い
チューブレス運用に欠かせないのが、パンク穴を塞ぐための液体「シーラント」です。リムテープが必要なチューブレスレディの場合、シーラントがテープの接着剤を溶かしたり、テープの隙間からリム内部に侵入してニップルを腐食させたりすることが稀にあります。これはテープを使用するシステム特有のリスクと言えます。
リムテープがいらないホイールなら、シーラントがリムの内部(中空部分)に漏れ出す心配がありません。万が一漏れたとしても、それはタイヤのビード部分かバルブ付近からだけなので、原因の特定も容易です。また、シーラントを長期間入れたままにしても、テープが剥がれるといったトラブルが起きないため、精神的な安心感も大きくなります。
シーラントの種類によっては、特定のリムテープと相性が悪いものも存在しますが、テープ不要のリムならそうした相性問題も気にせずに済みます。よりシンプルに、より確実にチューブレスの恩恵を受けたいのであれば、リムテープを介在させないシステムを構築することが、トラブルを未然に防ぐ賢い方法となります。
適切なリムテープの選び方と交換のタイミング

ここまではリムテープがいらないケースを見てきましたが、現実には多くのライダーがテープを必要とするホイールを使っています。リムテープを省略できないのであれば、せめて最高のパフォーマンスを発揮するテープを選び、適切な時期に交換することが大切です。ここでは失敗しない選び方のコツと寿命について解説します。
リム幅に合わせたサイズの選び方
リムテープ選びで最も多い失敗は、幅の選択ミスです。リムテープには「16mm」「18mm」「21mm」など細かなサイズ展開がありますが、これはリムの内幅に合わせて選ぶ必要があります。基本的には、リムの内幅よりも「1〜2mm程度広いもの」を選ぶのが定石です。なぜなら、リムの底はU字型に凹んでいるため、平面の幅よりも少し余裕がないと穴を完全に覆いきれないからです。
テープが細すぎると、走行中に左右にズレてしまい、隠していたはずのスポーク穴が露出してしまいます。これが原因で突発的なパンクが起こるため、サイズ選びは慎重に行いましょう。逆に太すぎると、タイヤのビードが収まるべき段差(ビードフック)まで覆ってしまい、タイヤが装着できなくなったり、走行中にタイヤが外れたりする危険があります。
自分のホイールの正確な内幅を知るには、デジタルノギスで測るか、メーカーのスペック表を確認するのが一番です。特に最近のロードバイクは「ワイドリム化」が進んでいるため、昔ながらの細いテープでは対応できないことが増えています。「自分のホイール専用のジャストサイズ」を見つけることが、リムテープ運用における第一歩です。
素材の違い(ポリウレタン、布、ビニール)
リムテープには大きく分けて3つの素材があります。主流はポリウレタン製で、薄くて軽く、耐久性も高いのが特徴です。シマノやシュワルベなどの大手メーカーが採用しており、最も汎用性が高いタイプです。高圧のロードバイクから低圧のMTBまで幅広く対応でき、表面が滑らかなのでチューブを傷つける心配もほとんどありません。
次に、昔からある「布(コットン)製」です。ゼファールなどの製品が有名で、非常に丈夫で熱に強いのがメリットです。粘着力が強く、一度貼ると絶対にズレないという安心感があります。ただし、厚みがあるためタイヤの着脱が少し難しくなることや、水分を吸収しやすいというデメリットもあります。クラシックな自転車や、絶対にズレを許したくない場合に選ばれます。
最後は、安価な完成車によく使われる「ビニール製」です。これは伸びやすく、高圧に耐えられないことが多いため、スポーツサイクルで本格的に走るなら早めにポリウレタン製などに交換することをおすすめします。素材ごとの特性を理解し、自分のライディングスタイルや空気圧の設定に合わせて、信頼できる素材を選択することがパンク回避の鍵となります。
劣化のサインと交換目安
リムテープは「1年〜2年に一度」の交換が推奨されていますが、使用環境によって寿命は前後します。交換のタイミングを見極めるサインは、リムテープに「スポーク穴の形がくっきりと凹んで見えるかどうか」です。この凹みが深くなっているということは、素材が伸び切って薄くなっている証拠であり、いつ破れてもおかしくない状態です。
また、テープの端がめくれてきたり、素材がカサカサに乾燥して硬くなったりしている場合も交換時期です。硬化したテープは柔軟性を失い、チューブに対して攻撃性を持つことがあります。タイヤ交換やパンク修理でタイヤを外した際は、必ず指でテープをなぞって、凹みや亀裂、ズレがないかを確認する習慣をつけましょう。
「まだ大丈夫だろう」という油断が、出先での大きなトラブルを招きます。リムテープは数百円から千円程度で購入できる安価なパーツです。その安価なパーツ一つで数万円のタイヤやホイール、そして自分の体を守っていると考えれば、少しでも怪しいと感じたら迷わず新品に交換することが、最もコストパフォーマンスの良いメンテナンスと言えます。
【セルフチェックリスト】
1. スポーク穴の部分が深く凹んでいないか
2. テープが左右どちらかに寄っていないか
3. 表面にひび割れや硬化が見られないか
一つでも当てはまれば交換を検討しましょう。
リムテープがいらない環境を整えるメリットとデメリット

リムテープがいらない環境(穴なしリムやベロプラグの導入)を作ることは、多くのサイクリストにとって憧れですが、良い面ばかりではありません。導入してから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、メリットとデメリットの両面を公平に整理しておきましょう。天秤にかけて、自分にとっての最適解を見つけてください。
メンテナンスの手間が減る
最大のメリットは、言うまでもなくメンテナンスの手間が大幅に削減されることです。リムテープの貼り替えは、古いテープの粘着剤を綺麗に剥がしたり、新しいテープをシワなく均一に伸ばしながら貼ったりと、慣れない人には意外と神経を使う作業です。これがいらなくなるだけで、タイヤ交換の心理的ハードルはグッと下がります。
また、走行中のトラブル原因が一つ減るというのも大きなメリットです。パンクの原因を探っていて、実はリムテープのズレだったというケースは少なくありません。テープがなければ、こうした「原因特定に時間がかかるトラブル」を最初から排除できます。特に長距離を走るブルベやツーリングを楽しむ人にとって、「不安要素の削減」は精神的な余裕に直結します。
洗車後の乾燥が早いというメリットもあります。リムテープとリムの間に水が入り込むと、なかなか乾かずに内部の腐食を早めることがありますが、穴なしリムならその心配はありません。雨天走行が多い通勤ライダーや、シクロクロスなどの競技者にとっても、水分や泥の侵入を気にしなくて良い構造は、機材の寿命を延ばす助けになります。
軽量化につながる可能性
リムテープがいらないホイールやベロプラグの採用は、足回りの軽量化に寄与します。一般的なリムテープは1本あたり約15〜20g、前後で30〜40g程度あります。これは軽量なチューブ1本分に近い重さです。リムの最外周部でのこの重量差は、ホイール全体の慣性重量に影響し、漕ぎ出しの鋭さやヒルクライムでの軽快感として現れます。
特にヒルクライムレースなどで「1gでも削りたい」と考えているなら、テープを排除できるホイールの選択は非常に有効な手段です。高価なカーボンホイールの多くが、剛性を確保しつつリムテープを不要にする設計を取り入れているのは、この重量対効果が非常に高いからです。機材のスペックを最大限に引き出したい上級者にとって、テープの有無は無視できない要素となります。
ただし、ホイール単体で見ると、穴を塞ぐための製造工程が複雑になる分、安価なホイールよりは高価になります。そのため「テープ代を浮かせる」という経済的なメリットよりも、「走行性能を追求した結果としてテープがいらなくなる」という側面が強いのが実情です。コストとパフォーマンスのバランスをどう取るかが、選択の分かれ目になるでしょう。
トラブル時の対応のしやすさ
デメリットについても触れておく必要があります。リムテープがいらない「穴なしリム」の最大の弱点は、スポークやニップルのトラブルが起きた際の修理難易度です。通常、スポークが折れたらリムの内側から新しいニップルを通しますが、穴がないリムでは磁石などを使ってニップルを「釣る」作業が必要になります。
これは一般的な修理よりも時間がかかり、お店に依頼した際の工賃も割高になる場合があります。また、出先のトラブルで運悪くニップルがリムの中に脱落してしまった場合、穴がないために取り出すのが非常に困難で、走行不能に陥るリスクもあります。滅多に起きないトラブルではありますが、こうした構造上の制約があることは理解しておくべきです。
一方で、ベロプラグの場合はこうした修理のしにくさはありません。しかし、予備のプラグを持ち歩いていない場合、出先でプラグを紛失すると代えが効かないというリスクがあります。リムテープであればガムテープなどで一時的に応急処置ができますが、専用設計のアイテムは代用が難しいのが難点です。このように、「便利さの裏にある特殊性」を理解した上で運用することが求められます。
まとめ:リムテープなし運用のメリット・デメリット
【メリット】
・貼り替え作業から解放される
・ホイール外周部の軽量化ができる
・リム打ち以外のパンクリスクを低減できる
【デメリット】
・ホイール自体の価格が高くなりやすい
・スポーク修理に手間とコストがかかる
・ベロプラグの場合、適合サイズ選びがシビア
まとめ:リムテープがいらないホイール選びと安全な運用
リムテープは自転車の安全走行を支える重要なパーツですが、ホイールの選び方や工夫次第で「いらない」環境を作ることは可能です。スポーク穴のない完全密閉型リムを選べば、煩わしい貼り替え作業から解放されるだけでなく、軽量化や剛性アップといった走行性能の向上も手に入ります。特にチューブレス運用を考えている方にとって、テープ不要の構造は大きなメリットとなります。
一方で、現在お使いのホイールにスポーク穴がある場合は、リムテープを省略することはできません。無理にテープなしで走れば、ほぼ確実にパンクという結果を招きます。そうした場合には、ベロプラグのような代替アイテムを検討するか、自分のリムに完璧にフィットする高品質なテープを選び、定期的に交換することが最善の道です。サイズ選びの徹底や、劣化サインのチェックを怠らないようにしましょう。
「リムテープがいらない」という選択は、単なる手抜きではなく、メンテナンス性の向上とリスク管理の一環です。自分の予算やメカニックとしてのスキル、そして走りの目的に合わせて、最適なホイールとテープの関係を見直してみてください。足回りの不安を解消することで、より遠くへ、より速く、安心してペダルを漕ぎ出せるようになるはずです。



