毎日のお買い物や通勤、通学に欠かせないママチャリですが、乗っていて「なんだか疲れやすい」「肩や腰が痛くなる」と感じたことはありませんか。その悩み、実はママチャリハンドル高さを少し変えるだけで解決するかもしれません。ハンドルは自転車の操作性を左右するだけでなく、乗車姿勢を決定づける非常に重要なパーツです。
適切な高さに設定されていないと、体の一部に無理な負担がかかり、本来の快適さが損なわれてしまいます。この記事では、自分にぴったりのハンドル位置を見つけるための基準や、具体的な調整方法、注意点について分かりやすく解説します。毎日の自転車移動をもっと楽で楽しいものにするために、ぜひ参考にしてください。
ママチャリハンドル高さの基本と理想的なポジション

ママチャリのハンドル高さを考える上で最も大切なのは、リラックスした状態で自然に腕を伸ばせる位置に設定することです。スポーツタイプの自転車とは異なり、ママチャリは上半身を起こした姿勢で乗ることが前提で作られています。まずは、基本となる考え方を押さえておきましょう。
そもそも適切なハンドル高さとは?
ママチャリにおける理想的なハンドル高さは、サドルの位置よりも「拳ひとつ分からふたつ分ほど高い位置」にあるのが一般的とされています。この高さに設定することで、背筋が適度に伸び、視界が広く確保されるため、街中での安全走行にもつながります。腕が突っ張りすぎず、肘にわずかなゆとりがある状態がベストです。
もしハンドルが低すぎると、前傾姿勢が強くなりすぎて腕や肩に体重がかかり、短時間の走行でも疲労を感じやすくなります。逆に高すぎると、ハンドル操作が不安定になり、上り坂などで力が入りにくくなるというデメリットが生じます。自分の腕の長さや座高に合わせて、無理のない位置を探ることが快適なサイクリングの第一歩です。
また、ハンドルの高さは「一度決めたら終わり」ではなく、季節や服装、体調によっても感じ方が変わることがあります。まずは標準的な高さに設定してみて、実際に近所を一周走ってみるのが良いでしょう。違和感があれば数ミリ単位で微調整を繰り返すことで、自分だけの黄金比が見つかります。
サドルとの高さ関係のバランス
ハンドルの高さを決める際には、必ずサドルの高さとのバランスを確認してください。ママチャリの場合、サドルは「両足のつま先が地面につく程度」が安全とされる高さですが、このサドル位置に対してハンドルが同じか、それよりも高い位置にあることが基本です。この高低差が乗車時の姿勢を大きく左右します。
サドルとハンドルの理想的な関係性
・リラックス重視:ハンドルをサドルより5〜10cm高くする
・走行性能重視:ハンドルとサドルをほぼ同じ高さにする
サドルを高く上げすぎているのにハンドルが低いままだと、お尻が上がり頭が下がるため、ママチャリ特有の安定感が失われてしまいます。逆にサドルが低くハンドルが高いと、お尻にどっしりと体重が乗りすぎてしまい、段差の衝撃がダイレクトに腰に伝わる原因になります。両者の位置関係をトータルで考えることが重要です。
多くの人はサドルの高さには気を配りますが、ハンドルの高さは購入時のままというケースが少なくありません。もしサドルを調整したなら、それに合わせてハンドルも上下させてみてください。それだけで、まるで別の自転車に乗り換えたかのような軽やかさを実感できるはずです。
身長や体格に合わせた微調整の考え方
自転車のサイズ(インチ数)が同じであっても、乗る人の身長や腕の長さは千差万別です。そのため、カタログスペック通りの設定が必ずしも正解とは限りません。身長が高い方の場合は、ハンドルが低すぎると膝がハンドルに当たってしまうこともあるため、通常よりも少し高めに設定するのがセオリーです。
小柄な方の場合は、ハンドルを高くしすぎると腕を上げ続ける形になり、肩周りの血行が悪くなってしまうことがあります。鏡の前で自転車にまたがってみて、肩が上がっていないか、首がすくんでいないかを確認してみましょう。リラックスして肩の力が抜けている状態が、その人にとっての最適な高さと言えます。
また、腕の長さによっても適切な位置は前後します。腕が長めの方はハンドルが近く感じやすいため、高さを調整することでグリップまでの距離感を調整できます。自分の体が「窮屈ではないか」あるいは「遠すぎて背中が丸まっていないか」という感覚を大切にして、数センチの差を意識してみてください。
理想的な姿勢がもたらすメリット
自分にぴったりのハンドル高さに設定できると、多くのメリットを享受できます。まず第一に、呼吸が楽になります。胸が適度に開く姿勢になるため、深い呼吸ができ、長距離を走っても息切れしにくくなります。これは毎日の通勤などで体力を温存したい方にとって、非常に大きな利点と言えるでしょう。
次に、安全性が向上します。頭が高い位置に保たれることで視界が広がり、交差点での飛び出しや歩行者の動きに早く気づけるようになります。また、ハンドル操作に余裕が生まれるため、急な障害物を避ける際などのコントロール性も高まります。無理のない姿勢は、心身の余裕にもつながるのです。
さらに、体へのダメージも軽減されます。特定の部位に負担を集中させないバランスの良い姿勢は、慢性的な腰痛や膝の痛みの予防になります。ママチャリは生活の道具だからこそ、こうした細かなセッティングが日々の健康維持にも寄与します。快適なポジションは、自転車に乗る楽しさを再発見させてくれるはずです。
ハンドルを調整する際に準備するものと手順

ママチャリハンドル高さの調整は、基本的な道具さえあれば自分でも行うことができます。ただし、間違った方法で行うと走行中にハンドルが抜けるなどの重大な事故につながる恐れがあるため、正しい知識を持つことが不可欠です。ここでは準備から実際の作業の流れまでを詳しく見ていきましょう。
調整に必要な工具の種類(六角レンチ・スパナ)
ママチャリのハンドル調整に必要な工具は、車種によって異なります。最近のモデルの多くは「六角レンチ(ヘックスレンチ)」を使用します。特に6mmのサイズが使われていることが多いですが、セットになっているものを用意しておくと安心です。100円ショップでも手に入りますが、精度や耐久性を考えるとホームセンターなどでしっかりとしたものを購入することをおすすめします。
一方で、少し古いモデルや低価格帯のママチャリでは、ボルトの頭が六角形に突き出ているタイプがあり、この場合は「スパナ」や「メガネレンチ」が必要になります。サイズは13mm前後が一般的です。モンキーレンチでも代用可能ですが、ボルトの角をなめて(削って)しまいやすいため、専用サイズのレンチを使うのが理想的です。
作業を始める前には、ボルトの周りに砂やゴミが詰まっていないか確認し、必要であれば掃除をしておきましょう。汚れがつまったまま工具を差し込むと、しっかり奥まで入らずに滑ってしまう原因になります。また、ボルトが固くて回らない時のために、潤滑油(クレ5-56など)も用意しておくとスムーズに作業が進みます。
スレッドステムとアヘッドステムの違い
ハンドルの固定方式には大きく分けて「スレッドステム」と「アヘッドステム」の2種類があります。ママチャリのほとんどはスレッドステムという方式を採用しています。これは、ハンドルの支柱(ステム)がフレームの筒の中に差し込まれており、上部の長いボルトを締めることで先端のパーツが広がり、内側から固定される仕組みです。
スレッドステムの特徴は、ハンドルの高さを無段階で自由に上下させられる点にあります。見た目としては、ハンドルの中心部に一本の長いボルトが見えるのがこのタイプです。調整が非常に簡単で、少し緩めるだけでスッと上下に動かすことができます。ママチャリユーザーにとって馴染み深いのは、間違いなくこちらのタイプでしょう。
一方で、スポーツバイクに近い設計のママチャリには、アヘッドステムが採用されていることもあります。こちらはフォークの管を外側からクランプ(挟み込む)して固定する方式で、高さ調整には「スペーサー」と呼ばれる輪っかを入れ替える必要があります。自由に高さを変えるのは難しいため、自分の自転車がどちらのタイプか事前に確認しておきましょう。
実際の調整ステップをわかりやすく解説
では、一般的なスレッドステムの調整手順を説明します。まず、ハンドルの中心部にあるトップボルトを工具で左(反時計回り)に数回転緩めます。この時、ボルトを完全に抜き取る必要はありません。ボルトを緩めてもハンドルが動かない場合は、ボルトの頭をプラスチックハンマーなどで軽く叩くと、内部の固定パーツ(臼)が外れて動くようになります。
次に、両足で前輪をしっかり挟んで固定し、ハンドルを左右に小刻みに振りながら好みの高さまで引き上げたり押し下げたりします。この際、前輪の向きとハンドルが直角になっていることを慎重に確認してください。少しでもズレていると、真っ直ぐ走っているつもりでもハンドルが斜めになってしまい、非常に危険です。
高さと向きが決まったら、トップボルトを右(時計回り)に締めていきます。最初は手応えが軽いですが、徐々に重くなっていきます。最後は力を入れてしっかりと締め込みますが、無理に締めすぎるとボルトが折れる可能性があるため注意してください。最後にハンドルを強く押したり引いたりして、動かないことを確認すれば完了です。
調整時に注意すべき「限界線」のルール
ハンドルを高く調整する際、絶対に守らなければならないルールが「限界線(限界標識)」です。ステムの支柱部分を引き抜いていくと、ギザギザの線や「MAX」といった文字が刻まれているのが見えます。これが限界線です。この線がフレームの外から見える状態で固定するのは、強度の面で非常に危険です。
もし、限界線まで引き上げても「まだ高さが足りない」と感じる場合は、その自転車のサイズが体格に合っていないか、あるいはステム自体を長いものに交換する必要があります。しかし、ママチャリのステム交換は専門的な知識が必要なため、無理をせず自転車店に相談することをお勧めします。
また、高さを変えたことでブレーキワイヤーや変速ワイヤーが突っ張っていないかも確認しましょう。ハンドルを左右に最大まで切った時に、ワイヤーが引っ張られてブレーキがかかってしまったり、変速が勝手に変わったりする場合は、高すぎることのサインです。ワイヤーの長さに余裕がある範囲内で調整を行ってください。
ハンドル高さが合っていない時に起こるトラブル

ママチャリハンドル高さが適切でないと、単に乗り心地が悪いだけでなく、体にさまざまな不調をきたすことがあります。「最近疲れやすいな」と感じている方は、以下の症状に心当たりがないかチェックしてみてください。ポジションのズレは、少しずつ蓄積されるストレスとなって体に現れます。
肩こりや背中の痛みが出る原因
ハンドルが低すぎると、上半身が深く前傾するため、頭を支えるために首や肩の筋肉を酷使することになります。特にママチャリはスポーツバイクのように腹筋で体を支える設計ではないため、重い頭の重みがダイレクトに首筋にかかり、ひどい肩こりや頭痛を引き起こす原因になります。常に上を向くような姿勢になるため、首への負担は相当なものです。
逆にハンドルが高すぎても問題があります。ハンドルが高すぎると、腕が上がりすぎてしまい、肩甲骨周りの筋肉が緊張した状態が続きます。これにより背中に張りを感じたり、肩が凝り固まったりすることがあります。不自然に「万歳」に近い形でハンドルを握っている場合は、少し高さを下げて肩の力を抜けるように調整が必要です。
また、ハンドルの位置が遠すぎる場合も背中を丸める姿勢(猫背)を助長し、腰や背中の痛みを誘発します。ハンドル高さは、単なる上下の移動だけでなく、乗る人の姿勢を正すためのキーポイントなのです。自分にとって「自然体」でいられる位置を見つけることで、こうした慢性的トラブルから解放される可能性が高まります。
お尻への負担が増えてしまう理由
意外に思われるかもしれませんが、ハンドル高さはお尻の痛みにも深く関係しています。ハンドルを高く設定しすぎると、上半身の体重のほとんどがサドルに乗ることになります。ママチャリのサドルはクッション性が高いものが多いですが、それでも全体重を一点で支え続けると、血行が悪くなりお尻が痛くなってしまいます。
長時間乗っているとお尻が痛くなるという方は、ハンドルを少し下げて、体重を「サドル・ハンドル・ペダル」の3点に分散させることを意識してみてください。わずかに前傾姿勢を取り、腕にも少しだけ体重を乗せるようにすると、お尻への圧力集中を避けることができます。これにより、長距離の移動でも痛みを軽減することが可能です。
もちろん、極端に前傾しすぎると今度は腕や手首が痛くなりますので、バランスが重要です。お尻にかかる荷重と腕にかかる荷重が「7:3」から「8:2」くらいになるのが、ママチャリにおける快適な配分とされています。お尻の痛みにお悩みの方は、サドルを疑う前に、まずハンドルの高さを疑ってみるのも一つの手です。
ふらつきやすくなるなど操作性への影響
ハンドル高さは、自転車の操作性(コントロール性)に直結します。ハンドルが高すぎる場合、重心が高くなるため、低速走行時や荷物を積んでいる時にフラつきやすくなります。特に重い荷物を前カゴに乗せている場合、ハンドルが高いと振り回されやすくなり、曲がり角などでヒヤッとする場面が増えるかもしれません。
また、ハンドルが低い場合は、急ブレーキをかけた際に体が前に投げ出されそうになる「ジャックナイフ現象」のような不安定さを感じることがあります。前傾が強すぎると、とっさの判断でハンドルを切る動作が遅れることもあり、安全面でのリスクが高まります。自分の意思がダイレクトに前輪に伝わる高さが、最も安全な高さと言えます。
適切な高さであれば、腕に適度な「遊び(ゆとり)」ができるため、路面からの衝撃を肘で吸収できるようになります。これにより、ガタガタ道でもハンドルを取られにくくなり、安定した走行が可能になります。操作に不安を感じている方は、まずハンドルの高さを調整して、自分のコントロール下に自転車を置けるようにしましょう。
膝や足にかかる負担の変化
ハンドルの高さが変わると、ペダルを漕ぐ際の足の使い方も変化します。ハンドルが低くて前傾姿勢になると、太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)を使いやすくなります。これはスピードを出すには向いていますが、脚力が弱い方にとっては疲れやすさを感じる原因になることもあります。また、窮屈な姿勢は膝の曲がりを深くし、膝関節への負担を増やすこともあります。
一方、ハンドルを適切な高さに上げると、上半身の重みを利用してペダルを踏み込みやすくなります。いわゆる「体重を乗せて漕ぐ」という感覚が得やすくなり、脚の力だけに頼らない効率的な走行が可能になります。これにより、坂道や向かい風の状況でも、比較的楽に自転車を進めることができるようになるのです。
足の疲れが気になる方は、ハンドルを少し高めに設定して、背筋を伸ばして漕いでみてください。股関節がスムーズに動きやすくなり、足の回転が軽くなるのを感じられるはずです。ハンドルの高さひとつで、全身の筋肉の使い方が変わるというのは、自転車ならではの面白いポイントであり、重要な調整要素です。
用途別のおすすめハンドル位置

ママチャリの使用目的は人それぞれです。近所への買い物、長距離の通勤、子供の送迎など、用途に合わせてハンドル高さを最適化することで、さらに利便性が高まります。ここでは、シチュエーションに応じたおすすめのセッティングをご紹介します。
買い物や街乗りで楽に走りたい場合
近所のスーパーへの買い物や、信号の多い街中をゆっくり走るのがメインの方は、ハンドルを「少し高め」に設定するのがおすすめです。背筋をピンと伸ばしたアップライトな姿勢(直立に近い姿勢)にすることで、周囲の状況がよく見え、ゆったりとした気分で走行できます。ストップ&ゴーが多い街中では、この視界の広さが安全に直結します。
また、高いハンドル位置は、前カゴに重い荷物を載せた際でも、腕の力でしっかりと車体を支えやすいというメリットがあります。前カゴに荷物を入れるとハンドルが左右に取られやすくなりますが、上から抑え込むような姿勢が取れる高さであれば、フラつきを最小限に抑えることができます。安定感重視の設定と言えるでしょう。
ただし、あまりに高くしすぎると、今度は風の抵抗を強く受けやすくなります。風が強い日に向かい風の中を走るのが辛いと感じる場合は、ほんの1〜2cm下げるだけで、風の影響を軽減しつつ快適さを維持できるバランスが見つかるはずです。日常の使い勝手を優先した「リラックスポジション」を目指してみてください。
通勤・通学で少しスピードを出したい場合
片道20分以上の通勤や通学で、ある程度の速度を維持して走りたい場合は、ハンドルを「標準よりやや低め」に設定するのがコツです。サドルの高さと同じか、少し高い程度に調整することで、自然と軽い前傾姿勢になります。これにより、風の抵抗を減らすことができ、同じ力で漕いでもスピードが伸びやすくなります。
前傾姿勢になると腹筋や背筋を使いやすくなるため、脚の筋肉だけに負担が集中するのを防げます。長距離を走る際に特定の部位が疲れにくくなるため、結果として目的地に到着した時の疲労感を軽減できます。また、低いハンドル位置は重心が下がるため、スピードを出している時の直進安定性が向上するという利点もあります。
ただし、低すぎるとビジネスバッグを肩にかけている際やリュックを背負っている際に、肩への負担が増大することがあります。通勤スタイルに合わせて、荷物の重さを考慮しながら調整してください。スーツを着用している場合は、あまりに前傾が強いと衣服にシワが寄りやすくなるため、その点も考慮した微調整が必要です。
子供を乗せるチャイルドシートがある場合
チャイルドシートを装着してお子様を乗せる場合は、何よりも「安定性」と「安全な操作性」が最優先されます。このケースでは、ハンドルを「しっかりと力が入り、なおかつ視界が遮られない高さ」に設定することが重要です。特にお子様を前側に座らせるタイプ(前乗せ)の場合、ハンドル位置が低いとお子様の頭が邪魔で前が見えにくくなることがあります。
お子様の重さ(10kg以上)が加わると、ハンドル操作は驚くほど重くなります。ハンドルを少し高めに設定することで、テコの原理を利用して少ない力でハンドルをコントロールしやすくなります。不意のフラつきに対しても、しっかりと腕で支えられるポジションを確保しておくことが、大切なお子様を守ることにつながります。
また、お子様を乗せ降ろしする際にも、ハンドルの高さは影響します。ハンドルが高いと、自分の体が自転車に近づきやすくなり、安定した状態でのお子様の抱っこが可能です。お父さんやお母さんの体格に合わせて、最も踏ん張りが効き、視界がクリアになるポイントを慎重に見極めてください。
坂道が多いルートを走る際のコツ
自宅の周りや目的地までのルートに坂道が多い場合、ハンドルの高さは登坂性能に大きく関わります。一般的に、坂道を登る際はハンドルを「引きつける」動作が必要になります。ハンドルが低すぎると、腕の力をペダルに伝えにくくなり、すぐに息が切れてしまいます。逆に高すぎても、力が逃げてしまい効率が悪くなります。
坂道対策としては、サドルよりも少し高い「力が一番入れやすい位置」を見つけることが大切です。ハンドルを握った時に肘を少し曲げ、グイッと自分の方へ引き寄せられる高さが理想的です。この引きつける力を利用することで、脚力だけに頼らず全身を使って坂道を登りきることができます。
もし、どうしても登り坂が辛いという方は、高さを変えるだけでなくハンドルの「角度」も見直してみると良いでしょう。グリップが少し手前に来るように角度を調整することで、腕の引きがスムーズになり、坂道でのパフォーマンスが向上することがあります。環境に合わせたセッティングが、日々の移動のストレスを軽減してくれます。
調整がうまくいかない・できない時の対処法

自分でハンドル高さを調整しようとしても、思わぬトラブルに直面することがあります。ボルトが回らなかったり、構造上の制限があったりと、個人の力では解決が難しいケースも少なくありません。そんな時に役立つ対処法と、プロに頼る際のポイントをまとめました。
ボルトが固着して回らない時の対策
長年、雨ざらしの状態で放置されていたり、一度も調整したことがなかったりするママチャリの場合、ボルトが錆びて固着(固まって動かなくなること)していることがあります。無理に力任せに回そうとすると、ボルトの頭が潰れたり工具が破損したりして、状況を悪化させてしまう可能性があるため注意が必要です。
まずは、市販の浸透潤滑剤(スプレー式のオイル)をボルトの隙間にたっぷりと吹きかけ、15分から30分ほど放置してみてください。オイルが金属の隙間に染み込むことで、摩擦が減り回りやすくなります。それでも動かない場合は、一晩置いてから再度試してみましょう。時間が解決してくれることも意外と多いものです。
もし潤滑剤を使っても全く動かない場合は、それ以上の深追いは禁物です。ボルトが折れてしまうと、ハンドルそのものを交換しなければならなくなり、修理費用が高くついてしまいます。自分では無理だと感じたら、すぐに自転車店へ持ち込みましょう。プロの技術と専用の工具であれば、固着したボルトも安全に外してもらえるはずです。
構造的にこれ以上高く(低く)できない場合
ママチャリの設計上、ハンドルの上下可動域には限界があります。前述した「限界線」まで引き上げても高さが足りない、あるいは一番下まで下げてもまだ高い、というケースです。このような場合は、ステム(ハンドルを支える棒の部分)そのもののパーツ交換を検討する必要があります。
ステムにはさまざまな長さや角度のものが存在します。例えば、もっと高くしたいのであれば「ロングステム」と呼ばれる長い支柱のものに交換することで、安全に高さを確保できます。ただし、ママチャリのステム交換はブレーキワイヤーの長さ調整なども伴うことが多いため、基本的にはショップでの作業を依頼するのが安全です。
また、ハンドルの形状そのものを変えるという選択肢もあります。いわゆる「アップハンドル」から、より平坦な「オールランダーバー」に変える、あるいはその逆にすることで、グリップ位置を劇的に変えることが可能です。自分の自転車でどこまでカスタムが可能か、一度専門家に相談してみるのが近道です。
ハンドルの角度調整も合わせて行う
高さの調整とセットで行いたいのが、ハンドルの「角度」の微調整です。ママチャリのハンドル(カモメ型のものなど)は、固定しているクランプ部分のボルトを緩めることで、手前や奥に回転させることができます。高さだけでは解決しなかった「手首の違和感」や「肩の凝り」が、角度を変えるだけでスッと楽になることがあります。
基本的には、グリップ部分が地面と水平、あるいはわずかに手前に下がっている状態が、手首に負担がかからない自然な角度とされています。角度を変えすぎるとブレーキレバーの向きまで変わってしまうため、その場合はレバーの角度も使いやすいように合わせて調整しましょう。
角度調整のチェックポイント
・ブレーキレバーに指がしっかり届くか
・握ったときに手首が不自然に曲がっていないか
・左右のバランスが崩れていないか
高さと角度を組み合わせることで、調整の幅は大きく広がります。「高さはいいけど、なんとなく握りにくい」という時は、ぜひ角度にも注目してみてください。わずか数度の変化が、驚くほどの操作性の向上をもたらしてくれるでしょう。
自転車店に依頼する際の費用感とメリット
「自分でやるのは不安」「道具を持っていない」という方は、迷わず自転車店に依頼しましょう。一般的なママチャリのハンドル高さ調整だけであれば、工賃は500円〜1,000円程度が相場です。時間も数分で終わることが多く、お買い物ついでに気軽に立ち寄ることができます。
プロに依頼する最大のメリットは、安全性の確保です。ボルトの締め付けトルク(力加減)が適切か、限界線を越えていないか、前輪との向きが正確かといった点を、経験豊富なメカニックがしっかりとチェックしてくれます。また、調整の過程でタイヤの空気圧不足やブレーキの消耗など、他の不具合を見つけてもらえることも多々あります。
もし購入したお店であれば、アフターサービスとして無料で調整してくれる場合もあります。無理をして自分で壊してしまうリスクを考えれば、プロの手を借りるのは非常に賢い選択です。調整をお願いする際は「今の悩みが何か(肩が痛い、もっとスピードを出したい等)」を伝えると、より適切なアドバイスをもらえるでしょう。
ママチャリハンドル高さの最適化で毎日の移動を快適に
ママチャリハンドル高さは、一度自分に合ったポジションを見つけてしまえば、毎日の移動が驚くほど軽やかで快適なものになります。ハンドルが適切な位置にあることで、正しい乗車姿勢が保たれ、肩こりや腰痛、お尻の痛みといったトラブルを防ぐことができるからです。
調整の基本は、サドルよりも少し高い位置に設定し、リラックスして肩の力が抜ける状態を目指すことです。自分で作業を行う際は、工具を正しく使い、必ず「限界線」を守って安全に固定してください。もしボルトが固くて回らなかったり、部品の交換が必要だったりする場合は、無理をせず信頼できる自転車店に相談しましょう。
自転車は、乗る人の体格に合わせて調整されて初めて、その真価を発揮する道具です。ほんの数センチの高さの差が、毎日の通勤・通学・お買い物を「辛い運動」から「心地よい移動」へと変えてくれます。この記事を参考に、ぜひあなたにとってのベストなハンドル位置を見つけて、健やかな自転車ライフを楽しんでください。



