「せっかくブロンプトンを買ったのだから、車に積んで遠くへ出かけたい」
「でも、どうやって積めば車も自転車も傷つかないのだろう?」
そんなふうに悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
ブロンプトンは、世界中の自転車の中でもトップクラスに小さく折りたためる自転車です。そのコンパクトさを活かせば、軽自動車やスポーツカーであっても、驚くほど簡単に積み込むことができます。電車での輪行も素晴らしいですが、車に積んで移動する「6輪生活(車4輪+自転車2輪)」は、時間や荷物の制限から解放され、サイクリングの楽しみを何倍にも広げてくれます。
この記事では、ブロンプトンを車に積むための具体的な方法や、車内を汚さないためのコツ、おすすめの固定アイテムなどを初心者の方にもわかりやすく解説します。愛車でのドライブとサイクリングを組み合わせた、新しい休日の過ごし方を一緒に見ていきましょう。
ブロンプトンの車への積み方と基本の載せ場所

ブロンプトンを車に積む際、どこにどのように置くのが正解なのでしょうか。実は、一般的な自転車では考えられないような場所にも積めるのがブロンプトンのすごいところです。ここでは、代表的な3つの積載パターンと、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。
後部座席の足元(足元スペース)が最強の定位置
ブロンプトンオーナーの間で「最も安定して安心できる」と言われているのが、後部座席の足元(レッグスペース)に置く方法です。折りたたんだブロンプトンは非常に薄くコンパクトなため、前席と後席の間の隙間にすっぽりと収まります。
この場所の最大のメリットは、走行中の揺れで自転車が倒れる心配がほとんどないことです。前席のシートバックと後席の座面で挟み込むように固定されるため、特別なロープなどがなくても安定します。万が一急ブレーキをかけたとしても、自転車が飛んでいくリスクが極めて低いため、安全面でも推奨される積み方です。
さらに、トランクに荷物が満載の状態でも自転車を運べるという利点もあります。家族や友人とドライブに行く際、トランクは旅行カバンで埋まっていても、足元のデッドスペースを活用してブロンプトンを連れて行くことができるのです。
トランク(ラゲッジルーム)への積載テクニック
もちろん、トランク(荷室)に積むのも王道の方法です。ハッチバック車やSUV、ミニバンなどであれば、広々としたスペースに余裕を持って載せることができます。複数台のブロンプトンを積む場合は、このトランク積載がメインになるでしょう。
トランクに積む際は、自転車が横倒しにならないように工夫が必要です。ブレーキやカーブの遠心力で自転車が滑り、内装にぶつかってしまうことがあるからです。壁面に寄せてベルトで固定したり、滑り止めのマットを敷いたりするのがポイントです。
また、セダンのようにトランクが独立している車の場合、高さに注意が必要です。ブロンプトンの折りたたみ時の高さは約58cmほどですが、トランクの開口部や内部の高さがこれより低いと入りません。積む前に一度、メジャーで高さを測ってみることをおすすめします。
助手席への積載はソロドライブの特権
一人で気ままに旅に出るなら、助手席にブロンプトンを載せるという選択肢もあります。助手席に置くと、運転中も愛車の様子が目に入り、なんとなく相棒と一緒に旅をしている気分が高まります。
この方法のメリットは、乗り降りの際に自分が運転席から降りて、すぐに助手席側のドアを開ければ自転車を取り出せることです。トランクまで回る必要がないため、到着してからサイクリングに移るまでの動作が非常にスムーズです。
ただし、助手席に積む場合は、急ブレーキ時に自転車がフロントガラスやダッシュボードに激突しないよう、シートベルトでしっかりと固定することが必須です。また、シートの座面が汚れないように、必ず厚手の布や専用のボックスを使用しましょう。
他の自転車には真似できない「縦置き」の強み
普通の折りたたみ自転車は、たたんでも「横長」の形状になることが多く、車に積む際はどうしても横倒しにして広い面積を占有してしまいます。しかし、ブロンプトンは折りたたむとほぼ正方形に近い形になり、自立します。
この「自立する」という特性こそが、車載時の最大の武器です。寝かせて積む必要がないため、床面積をほとんど使いません。例えば、軽自動車のトランクに4人分の荷物を積んだとしても、その脇のわずかな隙間にブロンプトンを「立てたまま」滑り込ませることが可能です。
立てて積むことで、チェーンなどの駆動系が上を向いたり下敷きになったりせず、油汚れが車内に付着するリスクも減らせます。狭いスペースを有効活用できるこの形状は、日本のコンパクトカー事情に非常にマッチしていると言えるでしょう。
車載時にブロンプトンを固定するおすすめアイテムとコツ

車に自転車をそのまま放り込むと、内装が汚れたり、自転車に傷がついたりするトラブルのもとになります。ここでは、多くのブロンプトンユーザーが愛用している「車載の神器」とも言えるアイテムや、固定のコツを紹介します。
IKEAの「DIMPA(ディンパ)」は伝説のシンデレラフィット
ブロンプトン乗りの間で知らない人はいないと言われるほど有名なのが、IKEAの収納バッグ「DIMPA(ディンパ)」です。本来はタイヤや布団などを収納するための半透明なバッグですが、そのサイズが驚くほどブロンプトンにぴったりなのです。
価格も数百円と非常に安価で、素材も丈夫なポリプロピレン製。水や汚れに強いため、タイヤについた泥やチェーンの油が車内に付着するのを完璧に防いでくれます。持ち手が長めに作られているため、車への積み下ろしもしやすく、使わないときは畳んで小さくしまっておけます。
頑丈な収納ボックス(RVボックス)で完全防御
さらに安全かつスマートに積みたい方には、ハードタイプの収納ボックスがおすすめです。ホームセンターなどで売られている「RVボックス」や「トランクカーゴ」と呼ばれるプラスチック製のコンテナです。
ブロンプトンが入るサイズ(内寸で幅60cm×奥行30cm×高さ60cm程度が目安)の箱を用意すれば、自転車を完全に隔離できます。これなら、上に他の荷物を重ねて積むことも可能ですし、万が一チェーンオイルが垂れても箱の中だけで済み、愛車を汚すことがありません。
特にキャンプ道具と一緒に積む場合など、荷物が圧迫し合う状況では、ハードケースに入れることでブロンプトンの繊細なパーツ(フェンダーやライトなど)が破損するのを防ぐことができます。
シートベルトとバンジーコードの活用術
座席の上に置く場合は、車のシートベルトを活用するのが最も手軽で確実な固定方法です。人間と同じように、ブロンプトンのフレーム部分にシートベルトを通し、カチャッとロックするだけで、驚くほどしっかりと固定されます。
トランクに積む場合は、ヘッドレストのステー(金属の棒部分)などを利用して固定します。ここで役立つのが、100円ショップやアウトドアショップで手に入る「バンジーコード(ゴム紐)」や「荷締めベルト」です。
ブロンプトンのサドルやメインフレームと、車のヘッドレストや荷室のフックをベルトで繋ぐことで、カーブやブレーキ時の転倒・滑りを防止できます。ほんの一手間ですが、運転中の「ガタン!」という不快な音を防ぐためにも重要です。
養生用のヨガマットや古毛布の重要性
専用のバッグや箱を使わずに積む場合、絶対に用意しておきたいのが「養生(ようじょう)」のためのマットや布です。ブロンプトンには金属パーツが多く、車の内装プラスチックや革シートに当たると、簡単に傷をつけてしまいます。
使い古した毛布やタオルケットでも十分ですが、おすすめは100円ショップでも買える「ヨガマット」や「銀マット」です。これらはクッション性があり、滑り止め効果も高いため、トランクの床に敷くだけで自転車が安定します。
また、ペダルやヒンジの出っ張り部分が車の内壁に当たりそうな場所に、部分的にタオルを巻くだけでも効果絶大です。愛車(車)と愛車(自転車)、両方を守るために、クッション材は必ず1枚積んでおきましょう。
車種別に見るブロンプトンの積載事例とポイント

「私の車には積めるかな?」と心配な方のために、代表的な車種タイプごとの積載イメージと、積む際のポイントをまとめました。ブロンプトンなら、ほとんどの車で解決策が見つかるはずです。
軽自動車(N-BOX、ジムニー、タントなど)
最近の軽自動車、特にハイトワゴンと呼ばれるタイプ(N-BOX、スペーシア、タントなど)は、ブロンプトンにとって最高のトランスポーターです。室内高が高いため、後部座席を倒さなくても、トランクスペースに縦置きで余裕を持って積むことができます。
また、アウトドア派に人気のジムニーでも問題ありません。ジムニーはトランクが狭いと思われがちですが、後部座席を片方だけ倒せばフラットな空間ができ、ブロンプトンを安定して載せることができます。キャンプ道具と一緒にパズルのように積み込む楽しさも、ジムニー×ブロンプトンの醍醐味です。
セダン・クーペ・スポーツカー
トランクの高さが限られるセダンや、積載スペースが少ないスポーツカーこそ、ブロンプトンの真価が発揮される場面です。一般的な折りたたみ自転車では入らないような低いトランクでも、ブロンプトンなら高さが低いため収納できるケースが多いです。
例えば、マツダのロードスターのような2シーターオープンスポーツカーでも、助手席に乗せることで運搬が可能です(トランクは車種によりギリギリの場合があります)。「スポーツカーでドライブし、目的地では自転車で風を切る」という優雅な休日は、ブロンプトンオーナーだけの特権と言えるでしょう。
コンパクトカー(フィット、ヤリス、ミニなど)
日本の道路事情に多いコンパクトカーは、ブロンプトンとの相性が抜群です。多くの車種で、後部座席の足元スペースにぴったり収まります。
特に「ミニ(MINI)」は、その名前の通りブロンプトン(イギリス生まれ同士)と相性が良く、トランクにぴったり収まることがオーナー間でよく話題になります。3ドアか5ドアかによって積みやすさは変わりますが、後部座席を片側倒すことで2台積載してカップルや夫婦で出かけることも十分に可能です。
ミニバン・SUV(アルファード、ヴォクシー、CX-5など)
ミニバンや大型SUVであれば、積載に悩むことはまずありません。3列目シートを跳ね上げれば、ブロンプトンを畳まずにそのまま載せることすら可能なほどの広さがあります。
ただし、スペースが広すぎるがゆえに、固定がおろそかになりがちです。広いトランクの中で自転車がゴロゴロと転がってしまわないよう、前述した「RVボックス」に入れたり、荷室のフックを使ってロープでしっかり固定したりすることが重要になります。家族4人分のブロンプトンを積んで旅行に行く、なんて夢のような使い方も余裕でこなせます。
車に積む際の注意点と愛車を守るための対策

簡単に積めるからといって、無造作に扱うと思わぬトラブルに見舞われることがあります。ここでは、車載時に特に気をつけておきたいポイントを4つに絞って解説します。知っておくだけで、失敗を防ぐことができます。
チェーンオイルによる汚れは最大の敵
自転車を車に積む際、最も多いトラブルが「油汚れ」です。ブロンプトンのチェーンには黒い潤滑油がついており、これが車のシートや天井のファブリックに付着すると、簡単には落ちません。
ブロンプトンは折りたたむとチェーンが内側に来る設計になっていますが、それでもふとした拍子に触れてしまうことがあります。積み下ろしの際は、軍手をするか、汚れてもいい服を着るようにしましょう。また、右側(チェーン側)を壁やシートに直接当てないように置くのが鉄則です。
対策のポイント
・IKEAバッグ(DIMPA)などのカバーを必ず使う。
・積み下ろし時はチェーンが外側(自分側)に向かないように注意する。
・万が一のために、車内にパーツクリーナーとウエスを常備しておく。
夏場の車内温度とタイヤの破裂リスク
意外と知られていないのが、夏場の車内放置によるタイヤのパンク(バースト)です。真夏の閉め切った車内は50度〜70度以上の高温になります。空気は温まると膨張するため、パンパンに空気を入れたタイヤを放置すると、内圧が高まりすぎてチューブが破裂することがあります。
「ボンッ!」という音とともにチューブが裂けてしまうと、旅先で修理する羽目になります。夏場に車載する場合は、あらかじめ空気圧を少し下げておく(空気を少し抜く)のが賢明です。現地で乗る前に携帯ポンプで適正圧まで戻せば問題ありません。
ブレーキやカーブでの転倒・衝突防止
「ちょっとそこまでだから」と固定せずに走るのは危険です。自転車は金属の塊です。急ブレーキをかけた瞬間、後ろから10kg以上の金属の塊が飛んでくると考えれば、その恐ろしさがわかると思います。
特に後部座席にそのまま置いている場合、ブレーキで前に滑り落ちて、高価なギア変速機(外装変速のプーリーなど)をシートレールにぶつけて破損させるケースがあります。面倒でも、必ずシートベルトを通すか、足元の隙間に挟み込むようにして、物理的に動かない状態を作ってください。
車上荒らし対策としての「目隠し」
ブロンプトンは高価な自転車であることは、見る人が見ればすぐにわかります。車外から丸見えの状態で駐車しておくことは、盗難のリスクを高める行為です。
トランクカバー(トノカバー)がある車なら必ず閉めましょう。ハッチバック車などで外から荷室が見える場合は、色の濃いブランケットや遮光サンシェードを被せて、「自転車が積んであること」を悟られないようにする工夫が必要です。SAでの休憩や、食事で車を離れる際は特に注意してください。
6輪生活(車×自転車)で広がる楽しみ方

最後に、ブロンプトンを車に積めるようになると、どのような楽しみが待っているのかを紹介します。車と自転車、それぞれの長所を組み合わせることで、行動範囲は無限に広がります。
「パーク&ライド」でおいしいとこ取りの旅
自宅から目的地まで全行程を自転車で走るのは体力的に大変ですが、車を使えば「おいしいとこ取り」が可能です。例えば、景色の良い湖畔や、おしゃれなカフェが集まる街までは車で移動し、現地の駐車場に車を停めて(パーク)、そこからブロンプトンで散策(ライド)するスタイルです。
車では気づかずに通り過ぎてしまうような路地裏のお店や、美しい風景も、自転車の速度なら見逃しません。疲れたらすぐに車に戻って休憩できるのも、このスタイルの大きな魅力です。体力に自信がないパートナーや子供と一緒でも、無理なくサイクリングを楽しめます。
公共交通機関がない絶景スポットへ
電車での輪行は便利ですが、駅がない場所には行けません。しかし車載なら、山奥の秘境や、バスの本数が極端に少ない海岸線など、公共交通機関でのアクセスが難しい場所をスタート地点にできます。
例えば、山の頂上付近の駐車場まで車で上がり、そこから平坦な高原道路だけをブロンプトンで流す、といった贅沢な使い方も可能です。重い荷物やお土産は車に置いておけるので、身軽に絶景サイクリングを満喫できます。
万が一のトラブル時の「保険」として
楽しみ方とは少し違いますが、ブロンプトンを常に車に積んでおくと、緊急時の移動手段としても役立ちます。例えば、旅先で車が故障してしまった場合や、大規模な災害で車が動かせなくなった場合など、自転車があれば最寄りの施設まで移動することができます。
また逆に、サイクリング中に急な雨に降られたり、体調が悪くなったりした場合、家族に車で迎えに来てもらうことも容易です。普通の自転車ならキャリアが必要ですが、ブロンプトンならどんな乗用車でも迎えに来てもらえるため、安心して遠出ができます。
まとめ:ブロンプトンの車への積み方をマスターして旅に出よう
ブロンプトンは、単なる移動手段を超えて、ライフスタイルを豊かにしてくれるツールです。その可能性を最大化するのが「車載」というスタイルです。今回ご紹介したように、特別なキャリアを用意しなくても、少しの工夫と100円ショップやIKEAのアイテムだけで、誰でも安全に車に積むことができます。
「後部座席の足元」や「IKEAのDIMPA」を活用し、油汚れと固定にさえ気をつければ、あなたの車は最高のトランスポーターに早変わりします。
今度の休日は、トランクにブロンプトンを積み込んで、今まで行ったことのない街や自然の中へドライブに出かけてみてはいかがでしょうか。車窓から見る景色とはまた違う、風の匂いや街の息吹を肌で感じる素晴らしい体験が、きっとあなたを待っています。


