自転車で20km走ると時間はどれくらい?消費カロリーや必要な装備も解説

自転車で20km走ると時間はどれくらい?消費カロリーや必要な装備も解説
自転車で20km走ると時間はどれくらい?消費カロリーや必要な装備も解説
距離・時間・運動・健康

「自転車で20km走る」と聞いたとき、みなさんはどのようなイメージを持つでしょうか?「意外とすぐ着くのかな」「いや、かなり遠そうで疲れそう」など、感想は人それぞれかもしれません。健康志向の高まりや、満員電車を避けるための通勤手段として、自転車移動への注目が集まっています。

しかし、実際に20kmという距離を自転車で走ろうとすると、単にペダルを漕ぐだけではない様々なハードルが見えてきます。ママチャリとスポーツバイクでは所要時間が大きく異なりますし、毎日走るとなれば天候や体力面での課題も出てくるでしょう。これからチャレンジする方にとっては、具体的なイメージを持っておくことが成功の鍵となります。

この記事では、自転車で20kmを走る際にかかる現実的な時間や、ダイエット効果として期待できる消費カロリー、そして快適に走り切るための必須装備について、初心者の方にも分かりやすく解説します。週末のサイクリングや通勤ルートの検討に、ぜひお役立てください。

20kmを自転車で走る所要時間の目安と現実

まず最初に気になるのが、「20kmを走るのにどれくらいの時間がかかるのか」という点でしょう。地図アプリで検索して出てくる時間はあくまで理論上の数値であることが多く、実際の走行では信号待ちや路面状況に左右されます。ここでは、自転車の種類や走行環境によるリアルな所要時間について解説します。

車種によって大きく変わるスピードの差

自転車の種類によって、出せる平均速度は驚くほど異なります。一般的なシティサイクル(ママチャリ)の平均時速は約15km程度と言われています。この速度で計算すると、20kmを走り切るには単純計算で約1時間20分かかります。車体の重さやギアの制限があるため、これ以上のスピードを維持するのは体力的にかなりハードです。

一方、クロスバイクやロードバイクといったスポーツタイプの自転車であれば、初心者でも時速20km〜25km程度で巡航することが可能です。この場合、計算上の所要時間は50分〜1時間程度となります。スポーツバイクは車体が軽く、効率よく力が伝わる構造になっているため、ママチャリに比べて圧倒的に楽に、そして速く目的地に到着できます。

信号待ちや一時停止を含めた「表定速度」

スペック上の時速だけでなく、実際の公道走行で考慮しなければならないのが信号待ちや一時停止です。都心部や交通量の多い道路を走る場合、数百メートルごとに信号に引っかかることも珍しくありません。これにより、実際に1時間で進める距離(表定速度)は、巡航速度よりも確実に遅くなります。

一般的に、信号待ちを含めると所要時間は「計算上の時間+15分〜20分」を見ておく必要があります。つまり、ママチャリなら1時間40分〜2時間弱、スポーツバイクでも1時間15分〜1時間半ほどを見積もっておくのが現実的です。特に朝の通勤時間帯は交通量も多く、さらに時間がかかる可能性があるため、余裕を持ったスケジュールが必要です。

体力とペース配分の重要性

20kmという距離は、普段運動をしていない人にとっては決して短い距離ではありません。走り始めは元気でも、10kmを過ぎたあたりから徐々にお尻が痛くなったり、脚が重くなったりしてペースが落ちてくることがあります。特に向かい風や上り坂があるルートでは、予想以上に体力を消耗します。

初心者が20kmを走る場合、後半のペースダウンを考慮に入れることが大切です。「時速20kmで走れるから1時間で着く」とギリギリの計画を立てるのではなく、途中でコンビニ休憩を挟んだり、水分補給をしたりする時間を含めて計画しましょう。無理のないペース配分が、安全に目的地へたどり着くための最大のポイントです。

メモ: 20kmの距離感覚としては、東京駅から横浜駅、または大阪駅から神戸の三宮駅の手前くらいまでの距離に相当します。電車なら30分程度の距離ですが、自転車ではちょっとした小旅行の気分を味わえる距離感です。

20kmの自転車移動はきつい?通勤・通学での実用性を検証

次に、20kmという距離を「日常的な移動手段」として考えた場合の実用性について掘り下げていきます。週末のサイクリングで20km走るのと、決まった時間に遅刻できない通勤・通学で20km走るのとでは、意味合いが全く異なります。ここでは、通勤・通学を想定した際の「きつさ」や課題を検証します。

「片道20km」は初心者にはハードルが高い

結論から言うと、自転車通勤において「片道20km」は上級者向けの距離と言えます。往復で40kmとなり、これを毎日続けるには相当な体力と慣れが必要です。多くの自転車通勤者が「快適」と感じる距離は片道10km〜15km程度までとされており、20kmを超えると運動強度がぐっと上がります。

特に初心者の場合、最初のうちは片道だけで疲労困憊してしまい、仕事や勉強に支障が出る可能性もあります。もし20kmの通勤を検討しているなら、いきなり毎日走るのではなく、「週に1回、天気の良い日だけ」から始めるか、途中まで電車を使う「輪行」などの組み合わせを検討することをおすすめします。

天候リスクと汗の処理問題

長い距離を走るほど、天候の変化による影響を強く受けます。片道1時間以上自転車に乗っていると、出発時は晴れていても途中で雨に降られるリスクが高まります。20kmの道のりを雨の中で走るのは視界も悪く、スリップの危険性も高まるため、精神的にも肉体的にも非常に過酷です。

また、夏場の「汗問題」も深刻です。20kmもしっかり漕げば、冬場であっても身体は温まり汗をかきます。夏場であれば全身ずぶ濡れになるほどの汗をかくでしょう。職場や学校にシャワー設備があるか、着替えを済ませる時間とスペースが確保できるかどうかが、20km通勤を継続できるかの大きな分かれ目となります。

疲労の蓄積と回復のサイクル

週末のサイクリングであれば、翌日はゆっくり休むことができますが、通勤・通学は連日続きます。往復40kmの運動による疲労は、想像以上に蓄積していきます。初日は達成感があっても、木曜日や金曜日あたりになると脚が重くて朝起きるのが辛い、といった状況になりがちです。

継続するためには、十分な睡眠と栄養摂取、そしてマッサージやストレッチなどのケアが不可欠です。「移動時間=トレーニング」と割り切れるストイックな方には向いていますが、単なる交通費節約の手段として20kmの自転車通勤を選ぶと、その過酷さに挫折してしまうことが多いのが現実です。

週末の「20kmサイクリング」は最適

一方で、通勤ではなく「週末のアクティビティ」として20kmを走るなら、これは初心者にとって絶好の目標となります。往復20km(片道10km)であれば、カフェに立ち寄って帰ってくるのにちょうど良い距離ですし、片道20kmの目的地まで走って帰りは電車(輪行)や家族に迎えに来てもらう、といったプランも楽しめます。

通勤・通学での距離別難易度目安

・5km未満:誰でも余裕(ママチャリでもOK)

・5km〜10km:快適な運動(クロスバイク推奨)

・10km〜15km:ここが境目(スポーツバイク必須)

・15km〜20km:体育会系・ガチ勢の領域

・20km以上:トレーニングレベル

20km走行に適した自転車の選び方

20kmという距離を快適に、そして楽しく走り切るためには、自転車選びが何よりも重要です。用途や体力に合わせて適切な一台を選ぶことで、「きつい運動」が「楽しい冒険」に変わります。ここでは、20km走行におすすめの車種とその特徴を紹介します。

クロスバイク:街乗りとスポーツのいいとこ取り

これから20kmの距離に挑戦する初心者に最もおすすめなのが「クロスバイク」です。ロードバイクほどの前傾姿勢にならず、ママチャリよりも圧倒的に軽快に走れる、まさにバランスの取れた一台です。タイヤも極端に細くないため、街中の段差や側溝にもある程度対応できます。

価格帯も5万円〜10万円程度と比較的購入しやすく、カゴや泥除け、スタンドといった日常使いに便利なオプションパーツも取り付けやすいのが特徴です。20kmの通勤から週末のサイクリングまで、幅広く対応できる万能選手と言えるでしょう。

ロードバイク:スピードと長距離性能を追求

「より速く、より遠くへ」という気持ちが強いなら、「ロードバイク」が選択肢に入ります。ドロップハンドルによる空気抵抗の軽減と、軽量な車体のおかげで、20km程度の距離ならあっという間に感じられるかもしれません。慣れれば時速25km以上での巡航も容易になります。

ただし、タイヤが細くパンクのリスク管理が必要な点や、前傾姿勢に慣れるまでは首や肩が疲れやすい点には注意が必要です。また、スタンドが付いていないモデルも多く、駐輪場選びに苦労することもあります。純粋に「走ること」を楽しみたい方に最適です。

E-bike(電動アシストスポーツ自転車):最強の救世主

「体力に自信がないけれど20km走りたい」「通勤で汗だくになりたくない」という方には、近年人気急上昇中の「E-bike(電動アシストスポーツ自転車)」が最強の選択肢です。坂道や向かい風といった、自転車乗りを苦しめる要素を電気の力でほぼ無効化してくれます。

ストップ&ゴーの多い市街地でも、漕ぎ出しのアシストのおかげで膝への負担が少なく、疲労感を大幅に軽減できます。バッテリーの進化により、一度の充電で50km以上走れるモデルも一般的になっています。車体価格は高めですが、その快適さは一度味わうと戻れないほどです。

ママチャリやミニベロでの20kmは?

一般的なシティサイクル(ママチャリ)や、タイヤの小さいミニベロで20km走ることは不可能ではありませんが、積極的にはおすすめしません。ママチャリは車体が重く、長時間の走行はお尻や腰への負担が大きくなります。ミニベロはタイヤが小さいため、速度を維持するのに多くの回転数が必要になり、長距離では意外と疲れます。

もしこれらの車種で20kmを走る場合は、サドルの高さを適切に調整(足が伸び切るくらい高くする)し、タイヤの空気をしっかり入れるなど、少しでも走行性能を上げる工夫が必要です。また、時間は通常より多めに見積もっておきましょう。

ダイエット効果は?自転車20kmの消費カロリー

自転車は「痩せる」というイメージがありますが、実際に20km走るとどれくらいのカロリーを消費するのでしょうか。実は自転車は、ランニングなどに比べて身体への着地衝撃が少なく、長時間続けやすいため、脂肪燃焼に非常に効果的な有酸素運動です。

消費カロリーの計算式と目安

運動による消費カロリーは「METs(メッツ)」という単位を使って計算するのが一般的です。自転車の運動強度は速度によって変わりますが、時速20km程度で走った場合は約8.0METsとされています。計算式は以下の通りです。

消費カロリー(kcal) = メッツ × 体重(kg) × 運動時間(時間) × 1.05

例えば、体重60kgの人が時速20kmで20kmの距離(所要時間1時間)を走った場合を計算してみましょう。
8.0(METs) × 60(kg) × 1(時間) × 1.05 = 約504kcal

体重や走行スピード、風向きによって変動しますが、20kmの走行で概ね400〜600kcal程度を消費できると考えて良いでしょう。これはハンバーガー1個分や、ラーメン1杯弱に相当するカロリーです。

ランニングやウォーキングとの比較

約500kcalを消費するために他の運動で必要な時間を比較してみると、その効率の良さが分かります。体重60kgの人の場合、ウォーキングなら約2時間半〜3時間、ランニングなら約45分〜1時間の運動が必要です。

「ランニングと同じ時間なら変わらないのでは?」と思うかもしれませんが、ランニングで1時間走り続けるのは初心者には非常にハードルが高いものです。一方、自転車で1時間(20km)走ることは、景色を楽しんだり風を感じたりしている間に達成できるため、精神的な負担が少なく、継続しやすいという大きなメリットがあります。

脂肪燃焼を最大化するコツ

ダイエット目的で20kmを走るなら、ガムシャラに速く漕ぐよりも「心拍数」を意識することが大切です。脂肪が最も効率よく燃焼するのは、最大心拍数の60%〜70%程度の強度と言われています。これは「会話ができるけれど、少し息が弾む」くらいの感覚です。

信号待ちからのダッシュを繰り返すような無酸素運動的な走り方よりも、一定のペースを淡々と維持して走り続ける方が脂肪燃焼効果は高まります。20kmという距離は、この有酸素運動を続けるのに十分な長さがあるため、ペース配分を意識することで高いダイエット効果が期待できます。

快適に20km走り切るためのコツと装備

最後に、20kmの道のりをトラブルなく、最後まで快適に走り切るための装備とコツを紹介します。ほんの少しの準備で、走行後の疲労感や「また走りたい」と思えるかどうかが大きく変わってきます。

お尻の痛み対策は「インナーパンツ」で解決

初心者が20km走って最初に直面する悩みが「お尻の痛み」です。スポーツバイクのサドルは硬めに作られていることが多く、長時間座り続けると骨が当たって痛みが出ます。これを我慢して走るとフォームが崩れ、膝や腰の痛みに繋がることもあります。

この解決策として最も有効なのが「パッド付きインナーパンツ」です。下着の代わりに履く、クッションパッドが入ったパンツで、ズボンの下に着用すれば見た目は分かりません。これがあるだけで、お尻へのダメージは激減します。Amazonなどで数千円で購入できるため、20km以上走るなら必須アイテムと言っても過言ではありません。

水分補給とエネルギー切れに注意

自転車は風を受けて走るため、汗をかいている感覚が薄れがちですが、実際には大量の水分を失っています。喉が乾いたと感じる前に、こまめに水分補給をすることが大切です。信号待ちのたびに一口飲むくらいのペースを意識しましょう。ボトルケージと専用ボトルを装備しておくと、走行中でもスムーズに飲めるので便利です。

また、空腹状態で走り続けると急に力が入らなくなる「ハンガーノック」という状態になる恐れがあります。20km程度ならそこまで深刻になることは稀ですが、朝食を抜いて走る場合などは注意が必要です。羊羹やエネルギーゼリーなど、すぐにエネルギーになる補給食をポケットに入れておくと安心です。

パンクなどのトラブルに備える

自宅から20km離れた場所でパンクした場合、歩いて帰るのは困難です。近くに自転車屋があるとも限りません。最低限の備えとして、予備のチューブ、タイヤレバー、携帯ポンプ(空気入れ)を持参するか、パンク修理キットを携帯しましょう。

もちろん、自分で修理できない場合は無理をする必要はありませんが、ロードサービスが付帯した自転車保険に入っておく、輪行袋(自転車を電車に乗せるための袋)を持っていく、またはタクシーを呼べるだけの現金やスマホを持っておくなど、「走れなくなった時の対策」を考えておくことが精神的な余裕に繋がります。

安全装備も忘れずに
ヘルメットの着用は努力義務化されています。また、夕方にかかる場合はフロントライトとリアライト(尾灯)の点灯を早めに行いましょう。自分の視界確保だけでなく、車に存在を知らせるために重要です。

正しいサドルの高さと服装

ママチャリ感覚でサドルを低くしていると、太ももの前側の筋肉ばかりを使ってしまい、すぐに疲れてしまいます。つま先が地面にギリギリ着くくらいの高さまでサドルを上げることで、脚の重さを利用して楽にペダルを回せるようになります。

服装については、裾がチェーンに巻き込まれないよう、裾バンドを使用するか、タイトなズボンを選びましょう。上着は風でバタつくと抵抗になるので、体にフィットするものがおすすめです。また、リュックを背負うと背中に汗をかきやすく肩も凝るため、荷物はなるべく自転車に取り付けたバッグに入れると快適です。

まとめ:自転車で20kmは準備次第で楽しい運動習慣になる

まとめ
まとめ

自転車で20kmを走ることは、初心者にとっては一つの大きな挑戦ですが、適切な準備と知識があれば十分に達成可能な目標です。所要時間はスポーツバイクなら1時間程度、ママチャリなら1時間半程度が目安となります。

通勤での利用には天候や疲労管理といった課題がありますが、週末のサイクリングやダイエット目的の運動としては、20kmは非常に効率的で満足度の高い距離と言えます。自分の体力や目的に合った自転車を選び、お尻の痛み対策や水分補給を忘れずに行うことで、風を切って走る爽快感を存分に味わうことができるでしょう。

まずは天気の良い休日に、お気に入りのカフェや景色を目指して、片道10km(往復20km)から始めてみてはいかがでしょうか。その先には、車や電車では気づけなかった新しい発見がきっと待っています。

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