「クロスバイクの走りをもっと軽くしたいけれど、タイヤサイズはどうすればいい?」「700x28cというサイズをよく聞くけれど、今のタイヤと何が違うの?」
クロスバイクに乗っていると、いずれ訪れるのがタイヤの交換時期です。純正のタイヤから新しいものに変える際、サイズ選びは乗り心地やスピード感を劇的に変える重要なポイントとなります。中でも「28c」という太さは、軽快なスピード感と街乗りでの快適性を高い次元で両立させた、まさにクロスバイクにとっての「黄金比」とも言えるサイズです。
この記事では、クロスバイクのタイヤサイズ「700x28c」の基礎知識から、交換することで得られるメリット、そして自分にぴったりの一本を見つけるための選び方を徹底解説します。初心者の方でも迷わないよう、空気圧の管理方法や交換時の注意点も網羅しました。愛車の足回りをアップデートして、毎日の移動や週末のサイクリングをより楽しいものにしましょう。
「700x28c」とは?クロスバイクタイヤの数字の意味と基礎知識

タイヤの側面を見ると、「700x28c」や「28-622」といった数字が並んでいます。初めてタイヤ交換を検討する方にとって、この数字の羅列は少し難しく感じるかもしれません。しかし、この表記にはタイヤの性格や適合サイズを知るための重要な情報が詰まっています。
まずは、この数字が具体的に何を表しているのか、そしてなぜこのサイズがクロスバイクで広く支持されているのか、その理由を紐解いていきましょう。基礎を知ることで、自分に最適なタイヤ選びの第一歩を踏み出せます。
「700」が表すホイールの大きさ
最初の「700」という数字は、タイヤの外径(直径)のおおよその大きさを表しています。単位はミリメートルに近い概念ですが、厳密な実測値ではなく、フランス系の規格に基づいた呼び名です。「700c」と呼ばれるこの規格は、ロードバイクやクロスバイクなどのスポーツ自転車で最も標準的に採用されています。
一般的なシティサイクル(ママチャリ)で使われる26インチや27インチとは規格が異なります。そのため、タイヤを購入する際は必ず「700」という数字が一致していることを確認する必要があります。このサイズは巡航性能が高く、一漕ぎで進む距離が長いため、スポーツ走行に適しているのが特徴です。
「28c」が表すタイヤの太さ
「x」の後ろにある「28c」という数字は、タイヤの太さ(幅)を表しています。ここでの「28」は、タイヤをリムに装着して空気を規定圧まで入れた際の幅が、およそ28mmになることを意味しています。「c」は規格の分類記号ですが、一般的には幅の単位の一部として認識してしまって問題ありません。
クロスバイクのタイヤ幅は、細いもので23mmや25mm、太いものでは35mmや40mmを超えるものまで多岐にわたります。その中で28mmという幅は、細すぎず太すぎない絶妙なバランスを持っています。この太さが、クロスバイク特有の「街中での使いやすさ」と「スポーツ自転車らしい疾走感」の両立を可能にしているのです。
世界共通規格「ETRTO」も知っておこう
タイヤには「700x28c」というフランス表記の他に、「28-622」といった別の数字が併記されていることがあります。これは「ETRTO(エトルト)」と呼ばれる世界共通の統一規格です。最初の「28」はタイヤ幅(mm)、後ろの「622」はタイヤの内径(ビード径)を表しています。
実は、タイヤ選びで最も重要なのはこの「622」という数字です。これがホイールのリム径と一致していないと、タイヤを装着することができません。700cのホイールはETRTO規格でいうと622mmに相当します。万が一、フランス表記が見当たらない場合や、古い規格の自転車でサイズが不安な場合は、このETRTO表記を確認することで確実な適合判断が可能になります。
28cにするメリットは?32cや25cとの走りの違い

クロスバイクの完成車には、購入時に「30c」や「32c」といった少し太めのタイヤが装着されていることが多くあります。これを「28c」に交換すると、実際の走りにはどのような変化が生まれるのでしょうか。
また、ロードバイクで主流となっている、より細い「25c」と比較した場合はどうでしょうか。ここでは、他のサイズと比較しながら、28cタイヤが持つ独自のメリットと、走りの変化について詳しく解説します。
32cと比較した時の軽快さと加速感
多くのクロスバイクに初期装備されている32cや35cのタイヤから28cに交換すると、まず驚くのが「漕ぎ出しの軽さ」です。タイヤが細くなることでゴムの量が減り、物理的な重量が軽くなるため、信号待ちからの発進や上り坂でのペダリングが明らかにスムーズになります。
また、路面との接地面積がわずかに減少することで、転がり抵抗も低減されます。これにより、同じ力でペダルを漕いでもスピードに乗りやすく、速度の維持も楽になります。特にストップ&ゴーの多い市街地での走行では、この「軽さ」と「加速の良さ」が疲労軽減に大きく貢献します。
25cと比較した時の乗り心地と安定感
一方で、ロードバイク並みの細さである25cや23cと比較すると、28cは「乗り心地の良さ」で勝ります。タイヤ内部に入る空気の量(エアボリューム)が多いため、路面からの衝撃を吸収するクッション性が高くなるのです。段差を越える際の突き上げ感もマイルドになります。
さらに、タイヤが太い分だけ路面を捉えるグリップ力も安定しています。細すぎるタイヤは側溝の蓋や路面のひび割れにハンドルを取られそうで不安に感じることもありますが、28cあればある程度のラフな路面でも安心して走行できます。スピードを求めつつも、神経質になりすぎずに走れるのが28cの強みです。
街乗りに最適な「ストップ&ゴー」性能
日本の道路事情、特に都市部では、信号や交差点、歩行者への配慮などで頻繁に停止と発進を繰り返す必要があります。このような環境では、最高速度の高さよりも「減速してから再加速するまでのスムーズさ」が重要になります。
28cタイヤは、軽量性による加速の良さと、安定したブレーキング性能のバランスが非常に優れています。太すぎるタイヤのような重ったるさがなく、細すぎるタイヤのようなフラつきも少ないため、街中をキビキビと、かつ安全に移動するのに最適な選択肢と言えるでしょう。
長距離ライドでも疲れにくい理由
週末に少し遠くまでサイクリングに出かける場合も、28cは頼もしい相棒になります。長時間自転車に乗り続けると、路面から伝わる微細な振動が体に蓄積し、疲労の原因となります。28cは振動吸収性が高いため、体へのダメージを抑えることができます。
また、適度な太さは直進安定性にも寄与します。ハンドルを常に微調整しなくても真っ直ぐ走りやすいため、精神的な疲れも軽減されます。「速く走りたいけれど、疲れすぎるのは嫌だ」というワガママな要望に応えてくれるのが、このサイズの大きな魅力です。
失敗しないクロスバイク用タイヤの選び方

一口に「700x28cのタイヤ」と言っても、メーカーやモデルによってその性能や価格は千差万別です。1本2,000円程度の安価なものから、1万円近くするレース用モデルまで存在します。
自分の用途に合わないタイヤを選んでしまうと、「思ったより走りが軽くならなかった」あるいは「すぐにパンクしてしまった」といった失敗につながりかねません。ここでは、タイヤ選びで注目すべきスペックや構造の違いについて、専門的な視点を交えつつわかりやすく解説します。
トレッドパターンで選ぶ:スリックか溝付きか
タイヤの表面にある溝や模様のことを「トレッドパターン」と呼びます。これには大きく分けて、表面がツルツルの「スリックタイヤ」と、溝が刻まれた「溝付き(パターン)タイヤ」があります。
スリックタイヤは、路面との抵抗が少なく、舗装路を最も効率よく走ることができます。晴れた日のサイクリングがメインで、スピード感を重視したい方におすすめです。「溝がないと滑るのでは?」と心配されることがありますが、自転車の場合は自動車のようなハイドロプレーニング現象は起きにくいため、舗装路であれば十分なグリップ力を発揮します。
一方、溝付きタイヤは排水性を考慮して設計されており、濡れた路面や少し荒れた道でのグリップ力に優れています。毎日の通勤・通学で雨の日も乗る可能性がある方や、砂利が浮いているような道を走ることが多い方は、溝があるタイプや「ミックスパターン」と呼ばれるサイドにだけ溝があるタイプを選ぶと安心です。
ビードの種類で選ぶ:ワイヤーかケブラーか
タイヤをホイールのリムに引っ掛ける耳の部分を「ビード」と呼びます。このビードに使われている素材によって、タイヤの重量や価格、持ち運びやすさが大きく変わります。
「ワイヤービード」は、金属製のワイヤーが入っているタイプです。折りたたむことはできませんが、価格が安く、耐久性があるため、完成車やエントリーグレードのタイヤに多く採用されています。コストを抑えたい方におすすめですが、重量はやや重めになります。
「ケブラービード(フォールディングビード)」は、柔軟で強靭な繊維素材を使用しています。タイヤを小さく折りたたんでパッケージングできるのが特徴です。ワイヤービードに比べて非常に軽量で、走りの軽さに直結します。価格は高くなりますが、性能アップをはっきりと体感したいなら、迷わずこちらを選ぶことをおすすめします。
「TPI」でわかるタイヤのしなやかさ
カタログやスペック表を見ると「TPI」という数値が記載されています。これは「Threads Per Inch」の略で、タイヤのケーシング(骨格部分)1インチあたりに何本の繊維が使われているかを表す数値です。
TPIの数値が高い(例:120TPI以上)タイヤは、細い繊維を密度高く織り込んでいるため、非常にしなやかで軽量です。路面の凹凸に合わせて柔軟に変形するため、乗り心地が良く、転がり抵抗も低くなります。いわゆる高級タイヤはこの傾向にあります。
逆にTPIの数値が低い(例:30〜60TPI)タイヤは、太い繊維を使っているため、ゴムが分厚くなり、剛性が高く頑丈です。乗り心地は少し硬くなりますが、サイドカットなどのパンクに強く、耐久性に優れています。街乗りでのタフさを求めるなら、あえて低TPIのモデルを選ぶのも一つの賢い選択です。
耐パンク性能と重量のバランス
クロスバイクユーザーにとって最大の敵は「パンク」です。多くのタイヤメーカーは、トレッドのゴムの下に「耐パンクベルト」と呼ばれる保護層を入れることで、ガラス片や釘などの貫通を防ぐ工夫をしています。
しかし、この耐パンク性能を高めれば高めるほど、タイヤは重くなり、乗り心地も硬くなる傾向があります。逆に、軽さを極限まで追求したタイヤは、保護層が薄くパンクのリスクが高まります。
選び方のポイントは、自分の主な用途を振り返ることです。「遅刻が許されない通勤・通学」なら、多少重くても耐パンク性能が高いモデル(例:パナレーサーのリブモなど)を選びましょう。「休日のフィットネスで気持ちよく走りたい」なら、軽さを重視したモデルが適しています。最近では、素材の進化により軽さと耐パンク性を高いレベルで両立したモデルも増えています。
700x28cタイヤの性能を長持ちさせる空気圧管理

最高のタイヤを選んで交換しても、空気圧の管理がずさんであれば、その性能を半分も引き出すことはできません。特に32cなどの太いタイヤから28cにサイズダウンした場合、空気の容量が減るため、よりシビアな管理が求められます。
適切な空気圧を維持することは、走りを軽くするだけでなく、パンクを予防し、タイヤの寿命を延ばすことにもつながります。ここでは、28cタイヤにおける空気圧管理の基本とコツを解説します。
適正空気圧の目安を知ろう
タイヤの側面には、必ずそのタイヤの「推奨空気圧範囲」が記載されています。「MIN 5.0 – MAX 7.0 bar」や「75 – 100 PSI」といった表記を探してみてください。適正値はメーカーやモデルによって異なりますが、700x28cの場合は概ね「6.0〜7.0 bar(約85〜100 PSI)」あたりが基準となることが多いです。
基本的には、体重が重い人や荷物を多く積む場合は高めに、体重が軽い人や乗り心地を柔らかくしたい場合は低めに設定します。ただし、記載されているMIN(最低値)を下回ったり、MAX(最高値)を超えたりしないように注意しましょう。
空気を入れる頻度は「週に1回」
スポーツ自転車のタイヤは高圧な空気が入っているため、乗らなくても自然に空気が抜けていきます。28cのような細めのタイヤでは、太いタイヤに比べて空気の減りが走りに大きく影響します。
理想は週に1回、少なくとも2週間に1回は必ず空気圧計付きのポンプで空気圧を確認し、補充するようにしましょう。
空気が減った状態で走り続けると、タイヤが変形しすぎて側面がひび割れたり、転がり抵抗が増えてペダルが重くなったりします。何より、「リム打ちパンク」のリスクが跳ね上がります。週末に乗る前には必ず空気を入れる、というルーチンを作るのがおすすめです。
空気圧不足による「リム打ちパンク」に注意
クロスバイクのパンク原因で最も多いと言われているのが「リム打ちパンク(スネークバイト)」です。これは、段差などを乗り越えた際に、空気圧不足でタイヤが潰れきってしまい、中のチューブが「地面」と「ホイールのリム」に挟まれて穴が開く現象です。
28cは32cに比べてエアボリュームが少ないため、同じ空気圧でも段差での変形量が大きくなります。そのため、太いタイヤの時と同じ感覚で空気圧管理をサボっていると、すぐにリム打ちパンクをしてしまいます。段差の手前ではしっかり減速して抜重するテクニックも有効ですが、まずは適正な空気圧を保つことが最大の防御策です。
自分でできる?タイヤ交換の基礎知識と注意点

タイヤの購入が決まったら、次はいよいよ交換作業です。自転車店に依頼するのが最も確実ですが、工賃がかかりますし、自分で交換できるようになれば出先でのパンクトラブルにも対応できるようになります。
クロスバイクのタイヤ交換は、コツさえ掴めばそれほど難しい作業ではありません。しかし、サイズ変更を伴う場合にはいくつか注意すべき点があります。ここでは、交換作業に挑戦する前に知っておくべきポイントを整理します。
ホイールのリム幅(内幅)を確認する
タイヤを細く(あるいは太く)する場合、ホイールのリム幅との相性を確認する必要があります。リムには「内幅」というサイズがあり、これによって装着できるタイヤの太さの許容範囲が決まっています。
一般的なクロスバイクのホイール(リム内幅15mm〜19mm程度)であれば、28cのタイヤは問題なく装着できるケースがほとんどです。しかし、最近流行りの極太タイヤを履いたモデルや、逆に極端に古いモデルの場合、リム幅が適合範囲外になる可能性があります。ホイールのメーカーサイトやリムに貼られたステッカーを確認し、適合範囲をチェックしておきましょう。
目安として、リム内幅の1.4倍〜2.4倍程度のタイヤ幅が推奨されることが一般的です。例えば内幅17mmのリムなら、23mm〜40mm程度のタイヤが許容範囲となります。
チューブのサイズ適合も忘れずに
タイヤのサイズを32cから28cに変更する場合、中のチューブも交換が必要になることがあります。チューブには「700×28-32c」のように、対応する太さの範囲が記載されています。
もし現在使っているチューブの対応範囲に「28c」が含まれていれば、そのまま流用することも可能です(例:28-35c対応のチューブなど)。しかし、太いタイヤ用に伸びてしまったチューブを細いタイヤに押し込むと、中でシワになってパンクの原因になることがあります。
タイヤを新品にしてサイズも変えるのであれば、チューブも「18-28c」や「25-32c」といった、28cにしっかり対応した新品に交換することを強くおすすめします。
クリアランス(隙間)のチェック
32cから28cへ「細くする」場合はあまり問題になりませんが、もし現在25cを履いていて28cへ「太くする」場合は、フレームとのクリアランスに注意が必要です。
タイヤが太くなると外径もわずかに大きくなります。そのため、フレームのチェーンステー部分やブレーキキャリパー、泥除け(フェンダー)との隙間が狭くなります。隙間が数ミリしかない状態だと、走行中に小石を巻き込んだり、ホイールが振れた際に接触したりする危険があります。タイヤとフレームの間には、最低でも3〜5mm程度の余裕があることが望ましいです。
回転方向(ローテーション)の指定
タイヤのモデルによっては、取り付ける向き(回転方向)が指定されているものがあります。タイヤの側面に「ROTATION →」といった矢印マークがあるか確認してください。
この向きはトレッドパターンの排水性能や、グリップ力を最大限に発揮するように設計されています。逆向きに取り付けてしまうと、水はけが悪くなったり、走行抵抗が増えたりしてしまいます。特に溝付きのタイヤを選ぶ場合は、組み付ける前に必ず矢印の有無をチェックしましょう。スリックタイヤや一部のモデルでは指定がない場合もあります。
クロスバイク タイヤ 700x28c のまとめ
クロスバイクのタイヤサイズ「700x28c」は、スピード感と快適性を兼ね備えた、まさに街乗りにベストバランスな選択肢です。
購入時の太いタイヤから交換すれば、ペダルを漕ぎ出した瞬間の軽さと、風を切って進む爽快感に驚くことでしょう。また、ロードバイク用の細すぎるタイヤとは違い、段差や荒れた路面に対する安心感もしっかり残されています。
最後に、今回の記事のポイントを振り返ります。
【700x28cタイヤの特徴と選び方】
・バランスが最高:32cより軽く加速が良いが、25cより乗り心地が良く安定している。
・用途で選ぶ:スピード重視なら「軽量・スリック」、通勤・耐久性重視なら「厚手・溝付き」を選ぶ。
・TPIに注目:予算が許せば高TPIのタイヤを選ぶと、しなやかな乗り心地を楽しめる。
・空気圧管理:性能維持の鍵。週に1回は適正圧まで空気を入れる習慣をつける。
・周辺パーツ:サイズ変更時はチューブの適合やリム幅も忘れずにチェックする。
タイヤは消耗品ですが、同時に自転車の性能を最も手軽に、かつ劇的に向上させるカスタムパーツでもあります。ぜひ、あなたの愛車にぴったりの700x28cタイヤを見つけて、いつもの道を新しい感覚で走り抜けてみてください。


