vélo tout-terrain(VTT)とは?フランス語で呼ぶマウンテンバイクの世界

vélo tout-terrain(VTT)とは?フランス語で呼ぶマウンテンバイクの世界
vélo tout-terrain(VTT)とは?フランス語で呼ぶマウンテンバイクの世界
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「vélo tout-terrain」という言葉を目にしたことはあるでしょうか。これはフランス語で、私たちが普段「マウンテンバイク(MTB)」と呼んでいる自転車のことを指します。

略して「VTT」とも表記されるこの言葉は、単なる翻訳の違いだけでなく、フランス独自の自転車文化や楽しみ方のニュアンスを含んでいます。ツール・ド・フランスの開催国であり、自転車大国としても知られるフランスでは、オフロード走行も非常に盛んです。

この記事では、vélo tout-terrainの言葉の意味から、フランスブランドの魅力、そして現地流の楽しみ方までをわかりやすく解説します。

Vélo tout-terrainの基礎知識とVTTの意味

まずは、このキーワードが持つ本来の意味や、なぜフランスではマウンテンバイクをこう呼ぶのか、その背景について深く掘り下げていきましょう。言葉の響きを知るだけで、自転車への愛着がより一層湧いてくるはずです。

フランス語での読み方と直訳の意味

「Vélo tout-terrain」は、カタカナで表記すると「ヴェロ・トゥ・テラン」に近い発音になります。「Vélo」は自転車、「Tout」はすべて、「Terrain」は地形や場所を意味します。つまり、これらを繋げると「あらゆる地形を走れる自転車」という直訳になります。英語の「All Terrain Bike(ATB)」とほぼ同じ意味合いを持っており、舗装路だけでなく、砂利道、泥道、岩場など、どんな悪路でも走破できるタフな自転車であることを表現しています。フランス語特有の流れるような響きは、無骨なオフロードバイクにもどこか洗練された印象を与えてくれます。

英語のMountain Bike(MTB)との違い

基本的に「Vélo tout-terrain(VTT)」と「Mountain Bike(MTB)」は、指している乗り物自体は同じものです。ハードウェアとしての構造や機能に違いはありません。しかし、言葉が使われる文脈や文化的な背景には若干の差異があります。MTBはアメリカのカリフォルニア州で発祥した「山を下る遊び」がルーツにあるため、よりエクストリームなスポーツ性が強調されがちです。一方、VTTという言葉は、競技としての側面も持ちつつ、フランスの田舎道をのんびりと巡る「ランドネ(ツーリング)」や、家族で自然を楽しむレジャーとしての側面も広く含んでいます。

なぜVTTという略称が使われるのか

フランスでは、長い単語を頭文字で略すことが一般的です。「Vélo Tout-Terrain」も日常会話や雑誌、ウェブサイトなどでは頻繁に「VTT(ヴェ・テ・テ)」と略されます。日本でマウンテンバイクをMTBと書くのと全く同じ感覚です。フランスの自転車ショップに行くと、コーナーの案内板には必ずと言っていいほど「VTT」の文字が掲げられています。また、電動アシスト機能を搭載したモデルは、末尾に「à Assistance Électrique」を加えて「VTTAE」と呼ばれており、こちらも近年急速に普及しているカテゴリーの呼び名として定着しています。

フランスにおけるVTTの人気と歴史

フランスはロードレースの最高峰「ツール・ド・フランス」の開催国として有名ですが、実はVTT(マウンテンバイク)の強豪国でもあります。1990年代から現在に至るまで、クロスカントリーやダウンヒルといった競技種目で多くの世界チャンピオンを輩出してきました。ジュリアン・アプサロンやポリーヌ・フェラン=プレヴォといった伝説的な選手たちの活躍により、フランス国内でのVTT人気は不動のものとなっています。週末になると、多くの市民が車にVTTを積んで森や山へ出かけ、泥だらけになって遊ぶ姿は、フランスの豊かな休日を象徴する光景の一つです。

フランス生まれの人気マウンテンバイクブランド

VTTという言葉を使うなら、機材もフランスのブランドに注目してみたくなります。芸術性と機能性を兼ね備えた、フランス発祥の代表的なメーカーをいくつかご紹介します。

LAPIERRE(ラピエール)

LAPIERREは、1946年にフランスのディジョンで設立された老舗ブランドです。ロードバイクのイメージが強いかもしれませんが、実はマウンテンバイクの分野でも非常に高い評価を得ています。特に、ダウンヒルやエンデューロといった重力系競技において、世界トップクラスのチームをサポートし続けてきました。彼らのバイクは、フランスらしい美しいグラフィックデザインと、過酷なレース環境で鍛え上げられたリンクシステムなどの技術力が融合している点が特徴です。初心者向けのエントリーモデルから、プロ仕様のハイエンド機まで幅広いラインナップを揃えており、日本でも手に入れやすいブランドの一つです。

COMMENCAL(コメンサル)

COMMENCALは、ピレネー山脈の麓、アンドラ公国(フランスと言語・文化圏が近い)に拠点を置くブランドです。創業者のマックス・コメンサルは、かつて「SUNN」という伝説的なブランドを率いていた人物で、VTT界のカリスマ的存在です。コメンサルの最大の特徴は、カーボン全盛の時代にあえて「アルミニウムフレーム」にこだわっている点でしょう。アルミの持つ耐久性とリサイクル性、そして独特の乗り味を追求し、世界中のファンを魅了しています。派手すぎず、しかし存在感のある洗練されたデザインは、まさに大人のためのVTTと言えるでしょう。

SUNN(サン)

1980年代から90年代にかけて、世界のレースシーンを席巻した伝説のフランスブランドがSUNNです。一時はその姿を見る機会が減っていましたが、近年劇的な復活を遂げ、再び注目を集めています。かつてのクロモリフレーム時代の名声を継承しつつ、現代的なカーボン技術や電動アシスト技術を取り入れたモデルを展開しています。フランス国内では非常に知名度が高く、レジェンドブランドとしての地位を確立しています。日本国内での流通量は多くありませんが、人と被らない「通」な一台を探している方には、ぜひチェックしてほしいブランドです。

LOOK(ルック)とその他のブランド

LOOKといえば、ビンディングペダルやカーボンフレームのパイオニアとしてロードバイク界で有名ですが、VTTの分野でも独創的なバイクを作っています。特にクロスカントリー向けの軽量モデルは、その造形美と反応の良さで知られています。また、タイヤメーカーの「Hutchinson(ハッチンソン)」や、ホイールメーカーの「Mavic(マビック)」など、フランスには完成車だけでなく、足回りを支える一流のパーツブランドも数多く存在します。これらフランス製パーツで愛車をカスタマイズするのも、VTTを楽しむ醍醐味の一つと言えるでしょう。

VTTで楽しむフランス流のサイクリングスタイル

機材だけでなく、楽しみ方にもフランス流のエッセンスを取り入れてみましょう。彼らはどのようにして自然と自転車を調和させているのでしょうか。

ランドネとVTTの組み合わせ

フランス語の「Randonnée(ランドネ)」は、トレッキングや遠足を意味しますが、自転車の世界では「長距離サイクリング」や「ツーリング」を指します。VTTを使ったランドネは、単に激しい山道を走るだけでなく、森の中の小径を抜け、景色の良い丘でランチを楽しみ、また次の村へと移動するような「旅」の要素が強いスタイルです。

必ずしもスピードやテクニックを競う必要はありません。太いタイヤの安定感を生かして、未舗装路も舗装路も自由に行き来しながら、その土地の空気感を全身で味わう。これこそが、VTTを使ったランドネの真髄です。

VTTAE(電動アシスト)の普及

先ほど少し触れた「VTTAE(電動アシストマウンテンバイク)」は、現在ヨーロッパで爆発的な人気を誇っています。日本のアシスト自転車とは異なり、スポーツ走行に特化した強力なモーターと大容量バッテリーを搭載しており、急な坂道でも驚くほど楽に登ることができます。

これにより、体力に自信のない人や年配の方でも、本格的な山岳コースを楽しめるようになりました。フランスのスキーリゾートでは、夏場にVTTAEのレンタルを行い、ゲレンデを駆け上がるアクティビティが定番化しています。「楽をする」のではなく「より長く、より遠くへ遊ぶ」ための進化なのです。

アルプスやピレネーを走るリゾート体験

フランスにはアルプス山脈やピレネー山脈といった雄大な山々があります。冬はスキーリゾートとして賑わうこれらの場所は、夏になると世界有数のVTTコースへと変貌します。リフトやゴンドラに自転車を載せて山頂まで行き、そこから整備されたコースを一気に下る「ダウンヒル」は最高のアクティビティです。

コースは初心者向けのなだらかなものから、プロ向けのジャンプ台があるものまで色分けされており、自分のレベルに合わせて楽しめます。日本でも富士見パノラマリゾートなど、同様の遊び方ができる場所が増えてきていますので、フランス気分を味わってみてはいかがでしょうか。

日本でvélo tout-terrainを楽しむための選び方

ここからは、実際に日本でVTT(マウンテンバイク)を始めるにあたって、どのような基準で自転車を選べばよいのかを解説します。フランス流の「楽しむこと」を優先した選び方のポイントです。

ハードテイルとフルサスペンションの違い

VTTには大きく分けて、サスペンション(衝撃吸収装置)が前輪にのみ付いている「ハードテイル」と、前後輪の両方に付いている「フルサスペンション」の2種類があります。街乗りや軽い林道サイクリング、そして価格の手頃さを重視するなら、メンテナンスが楽なハードテイルがおすすめです。

一方、木の根や岩がゴロゴロしている本格的な山道を快適に走りたい、あるいは腰への負担を減らして長時間遊びたいと考えるなら、フルサスペンションが適しています。予算と走りたい場所に合わせて選ぶのが基本ですが、迷ったら「どこを走ると一番ワクワクするか」を想像して決めてみてください。

フレーム素材(アルミ・カーボン・クロモリ)

フレームの素材は乗り味を大きく左右します。「アルミニウム」は軽量で価格も手頃、反応が良いので初心者から上級者まで幅広く愛用されています。多くの完成車がこの素材を採用しています。「カーボン」は振動吸収性が高く非常に軽量ですが、価格は高くなります。

予算に余裕があり、軽快な登りを重視する方に向いています。そして「クロモリ(鉄)」は、細身の美しいシルエットと、独特のしなりによる乗り心地の良さが魅力です。重量はありますが、長く使える丈夫さとクラシカルな雰囲気があり、フランスのランドネスタイルには非常にマッチする素材と言えます。

ホイールサイズ(29インチ・27.5インチ)

現在のVTT市場では、タイヤの直径(ホイールサイズ)は「29インチ」と「27.5インチ」の2つが主流です。「29インチ」はタイヤが大きいため、障害物を乗り越える能力が高く、スピード維持もしやすいのが特徴です。長距離を走る場合やレース志向の方に人気があります。

一方、「27.5インチ」は一回り小さいため、小回りが利きやすく、加速が良いのが特徴です。身長があまり高くない方や、日本の狭く曲がりくねったトレイルを軽快に操って遊びたい方には、このサイズが扱いやすいでしょう。自分の体格や遊び方に合ったサイズを選ぶことが重要です。

用途に合わせたタイヤ選び

「Vélo tout-terrain」の名の通り、あらゆる地形を走るためにはタイヤ選びが欠かせません。タイヤの太さと表面の凸凹(ブロックパターン)がポイントです。泥道や険しい山道を走るなら、幅が太く(2.3インチ以上)、ブロックが高くて間隔が広いタイヤがグリップ力を発揮します。

逆に、街乗りや乾いた砂利道がメインであれば、転がり抵抗の少ない、ブロックが低くて密集しているタイヤや、少し細めのタイヤを選ぶとスムーズに走れます。フランスのタイヤメーカー、ミシュランやハッチンソンなどは、用途別に非常に細かいラインナップを持っているので、タイヤだけフランスブランドに変えてみるのもおすすめです。

メンテナンスと安全な走行のための必須アイテム

VTTは過酷な環境を走る乗り物です。安全に、そして長く楽しむためには、適切な装備と日々のメンテナンスが欠かせません。準備を整えることも、遊びの一部です。

ヘルメットとプロテクターの重要性

オフロード走行では、転倒のリスクが常に伴います。街乗り用のヘルメットでも代用は可能ですが、できれば後頭部までしっかり保護されているVTT専用のモデルを選びましょう。また、山に入る場合は、膝や肘を守るプロテクターや、目を枝や泥から守るアイウェア(サングラスやゴーグル)の着用を強くおすすめします。

グローブも、指全体を覆うフルフィンガータイプが基本です。これらの装備は、万が一の怪我を防ぐだけでなく、「これから冒険に出るんだ」という気持ちのスイッチを入れる役割も果たしてくれます。

パンク修理キットと携帯ツール

山の中では近くに自転車屋さんがありません。トラブルが起きたときは、自分で対処するのが基本ルールです。予備のチューブ、タイヤレバー、携帯ポンプ(空気入れ)は必須アイテムです。

最近ではチューブを使わない「チューブレス」タイヤも普及していますが、その場合でもパンク修理キットは必要です。また、六角レンチなどがセットになった携帯マルチツールも忘れずに持ちましょう。サドルの高さを調整したり、緩んだネジを締め直したりと、出先でのちょっとした調整に役立ちます。小さなサドルバッグやバックパックにこれらを常備しておきましょう。

洗車と注油の基本メンテナンス

泥だらけになって帰ってきたVTTをきれいにする時間は、愛車との対話の時間です。泥をそのままにしておくと、サビの原因になるだけでなく、変速機やブレーキの動きが悪くなってしまいます。水で泥を洗い流し、水分を拭き取った後は、チェーンに注油を行いましょう。

特にフランスの冬のように湿気の多い季節や場所を走る場合は、ウェットタイプのオイルが適しています。また、サスペンションの摺動部(動く部分)の汚れを拭き取るだけでも、寿命を延ばすことができます。次のライドを気持ちよくスタートさせるために、帰宅後のケアを習慣にしましょう。

ウェア選びとフランスのファッション性

機能性はもちろんですが、ファッションを楽しむことも忘れてはいけません。VTTのウェアは、ロードバイクのようなピチピチのジャージだけでなく、ゆったりとしたTシャツやショートパンツのようなカジュアルなスタイルも人気です。

フランスには「Café du Cycliste(カフェ・ド・シクリステ)」のように、機能的でありながら街中でも違和感のない、洗練されたデザインのウェアブランドがあります。アースカラーを取り入れたり、あえてシックな色合いでまとめたりと、自分なりのスタイルでコーディネートを楽しんでみてください。

まとめ:Vélo tout-terrainの魅力を知って新しい冒険へ

まとめ
まとめ

「Vélo tout-terrain」という言葉から、フランスにおけるマウンテンバイク文化の深さや楽しみ方の広がりを感じていただけたでしょうか。VTTは単なるスポーツ機材ではなく、自然と触れ合い、日常を離れて冒険するための素晴らしい相棒です。

フランスのブランドを選んでみたり、ランドネのように景色を楽しむツーリングを計画してみたりと、この記事で紹介した要素を少しでも取り入れることで、あなたの自転車ライフはより豊かで彩りあるものになるはずです。さあ、準備を整えて、あなただけのVTT体験に出かけてみましょう。

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